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登場人物
神宮寺 玲 高校3年 メジャーデビューを目指す青年。ギター担当。作曲を担当。
愛車はカワサキ叔父から貰い受けたGPZ900R。
御手洗 侑吾 高校3年 ベース。陽気。愛車はヤマハTW200。
マイコ 高校3年 ボーカル。漫画をこよなく愛すオタク。
愛車はジャイアント アルミロード コンテンド。
コバちゃん 高校3年 ドラム。汗かき。
徒歩、電車。
スタジオの重い扉を開けるとドラムの古馬ちゃんと、マイクのセッティングをするボーカルのマイコがいた。
マイコと言っても、女の子ではない。見えなくもないが。
英語の発音が良すぎたために付けられたあだ名だ。
マイコにとって、Michaelは、マイケルではなくマイコォだった。
扉が開いているのにも関わらず、コバちゃんがドラムを叩き続けていたので素早く扉を閉じた。
いつものことだ。目配せで挨拶を交わす。
ギグバッグからレスポールを取り出すとクリップ型チューナーをギターヘッドに固定した。
6弦を弾くとメーターが左右に動きEの中心よりも少し左側に位置していた。
チューニングを終え、シールドをマーシャル JCM900に突き刺し6弦開放を弾きながらボリュームを調整していく。
リズムを刻む古馬ちゃんのドラムに合わせ適当なフレーズを弾いているとベースのユーゴも入ってきて軽くジャムが始まる。
頃合いを見て
「神宮寺、前に言うとった新曲できたん?。できたんやったら聞かせてや」
と、金髪というよりは白い長髪を掻き揚げながらマイコが告げた。
「だいたいな。まだ、見直さなあかんけどな。」
僕は、スタジオのホワイトボードに曲の構成を書いた。
イントロ E
Aメロ E
Bメロ E➡︎G➡︎A
サビ C➡︎D➡︎G➡︎A➡︎C➡︎D➡︎E➡︎E
「こんな展開やねんけどなまぁ、一回弾くわ。コバちゃん、ドドンド パン ドドンドパン ドド パンのリズムで音出して。クリック出すわ」
僕は、スマホのメトロノームを起動させた。
ピッポッポッポ ピッポッポッポと電子音が響く。
「ドラムって、こんな感じ?」古場ちゃんのTシャツは、汗でびしょ濡れになっていた。
「そうそう。そんな感じ。4小節目の終わりにフィル入れてや。それと、イントロ部は頭とスネアんとこにシンバルな。あとは、曲聴きながらギターに合わせる感じで頼むわ。」
マイコとユーゴは、メトロノームのクリック音に合わせ頭を揺らしていた。