秘密
登場人物
神宮寺 玲 高校3年 メジャーデビューを目指す青年。ギター担当。作曲を担当。
愛車はカワサキ叔父から貰い受けたGPZ900R。
御手洗 侑吾 高校3年 ベース。陽気。愛車はヤマハTW200。
マイコ 高校3年 ボーカル。漫画をこよなく愛すオタク。
愛車はジャイアント アルミロード コンテンド。
古馬ちゃん 高校3年 ドラム。汗かき。
徒歩、電車。
「お疲れー。葵ちゃんも、美咲ちゃんも上手いね」
「ほんと?ありがとう。美咲はギターも弾けるんだよ」
「葵、やめてよ」
「いいじゃん、ほんとに上手いんだから。ユーゴくんも、神宮寺くんも上手だね」
「まあね。」
ユーゴが得意げに、笑みを浮かべ、照れくさそうに話を続けた。
「そろそろ帰りますか。あ、帰り道一緒だし葵ちゃん送っていくよ」
「ありがとう。でも、美咲と電車で帰るから大丈夫」
「いやいや、送っていくよ 帰り道やし」
「え、でも」
「いいから、いいから」
「神宮寺くん、美咲ちゃんを駅まで送っていってあげてよ」
「あっ、うん。そうやな」
「じゃあ、行こっか」
「う、うん。ありがとう。じゃあね、美咲、神宮寺くん。」
葵もユーゴの押しに負け一緒に帰ることになった。
僕も気掛かりきなっていることを確かめたかった。
「バイク重くないの?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「ねえ君さっきなんで嘘ついたの?」
「え?」
何を意味しているのか理解できたが、咄嗟に言葉が出てこなかった。
「会ったことないってさ」
「あー、いやその何か。ごめん」
「まぁ、良かったんだけどね。病気のこと詳しく誰にも言ってないし」
「そっか。」
僕は、少しほっとした。
「病院のことなんやけどさ」
「うん、大丈夫。私も言わないから」
「あぁ、ありがとう。俺も皆んなには言ってないから。心配するしさ。」
「神宮寺君って体悪いの?元気そうに見えるけど」
「俺もよく分かんない。今のところは、鼻血が止まらくなることくらいかな。ま、大丈夫じゃない?」
「ふーん」
少し間を開けて彼女は話を続けた。
「私はね、」
数秒の沈黙は、とても長く感じられた。
「病気のことは、また今度ね。でも、やっぱりドラムやってたんだね。」
「え?なんで?」
「だって、いつも病院で手と足をパタパタさせてたから。」
「あー。確かにしてるか。見られてたんだ。」
「あれだけしてたら、みんな見てると思うよ」
「そうだっけ?そんなにしてるか。」
ふふっと、彼女は笑った。
「初めてなのに、なんだか変だよね」
「なんで?」
「今日初めて話すのに知ってるって」
「そっか、話すことはなかったかもね」
二人は、顔を見合わせてまた笑った。
「今日は、ありがとう。こんなに笑ったの久しぶりかも。またね。」
「うん。また。」
僕は、彼女が見えなくまで後ろ姿を目で追っていた。