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噛みキズナ  作者: 奈瀬朋樹
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プロローグ

小学3年生の秋、野良犬に左腕を噛まれて死にかけた。


体内にあった空気を全部使って悲鳴をあげた途端、とんでもない量の血と痛みが溢れだして、押し倒されてしまう。ショックで体が動かせず、左腕の肘より下をガシガシ噛み付かれていたら、近くでバスケをしていたお兄さん2人が大声を出しながらこっちにきて、野良犬の口をこじ開けようとしてくれたけど、力を入れた分だけ噛み付く力もつよくなって、左腕がどんどんエグれて、息がうまくできない。


それから1人のお兄さんがその場を離れて、公園のベンチに置かれたバックを持ってきてから制汗スプレーを野良犬の顔面に吹きかけてきて、それを見たもう1人もスポーツシューズを乱暴に脱ぎ捨てて穴の開いた真っ茶色な靴下を野良犬の鼻に押し付けると、やっと口が開いて逃げていった。


左腕がものすごく痛いのに、もう悲鳴どころか声がでてこない。

頭がぼーっとして、視界がぼやけてきた。


助けてくれたお兄さん達が必死に叫びながら左腕の上側をタオルで縛り、脱いだTシャツをグチャグチャになってしまった真っ赤な左腕に押し付けて、半裸で止血をしている。いつの間にかぼくを囲む様に人が集まっていて「すぐに救急車が来るから、気をしっかり持て!」「とにかく頑張れ!」「絶対に助かるから諦めるな!」と、大声で言い続けている。


たいへんな事になってしまった。ぼくのせいなのかな? 

人に心配をかけちゃったらあやらないといけないのに、力が入らない。

そんな中、へたり込んでぼくを眺めている女の子がいた。


タツ姉だ。


まだ首は動かせたから、顔をそっちに向けた。

いつも自信満々で強気なタツ姉が、泣きそうな顔をしている。

タツ姉、ケガしちゃったのかな?

知らないおじさんが心配そうに話しかけているから、きっとそうだ。


ごめんなさいタツ姉。

ぼくには、まだムリだった。


急に野良犬がこっちにきて、ころんだタツ姉が女の子みたいな悲鳴を上げた時、気付いたら体が前にとびだしていた。すぐに「あっちいけ!」って叫ぼうとしたけど、それよりも先に噛み付かれて、何もできなかった。


タツ姉はぼくにいろんな事を教えてくれた。

すこし前に『女の子がピンチの時、助ける事ができる強い男になれ』って言われて、ぼくは「わかった」って返事をした。そしてつよい男になるには、タツ姉とサッカーするのが一番って教えてくれたのである。だけどタツ姉はサッカーが超うまいから全然ボールにさわれなくて、今日こそはと思っていたのに、やっぱりダメだったのだ。


もっと、がんばればよかった。

タツ姉からボールがうばえていたら、あんな野良犬もかんたんに追っ払えたはずだ。


ごめんなさいタツ姉。

ぼくには、まだムリだった。


だから、これからはもっともっとがんばって、サッカーうまくなるから。

でも今は頭がぼーっとする。ねむい。

だから今日はもう休んで、明日からもっとがんばろう。


何か、ピーポーピーポーうるさい音が近づいてきた……。

どこかで聞いた音だけど、何だった…かな………これ……………。

一生懸命書いたので、この物語に付き合っていただければ幸いです

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