魔術学園隣人祭準備
多方面に迷惑を掛けつつ、一応の解決が出来た。残った問題は、マローナさんの願いの件だけか……。それも早めに考えてくれると、約束を貰った。
取りあえず今は、目の前の補助教師の仕事に取り掛かろう。
冬休み前の試験が終わり、ここから2週間は隣人際の準備期間。
アトラス先生の担任のクラスと、冒険者愛好会、担当が居なくなり合同でする事になった魔物使い部その準備をする事になった。
「私のクラスは、学園の図書室で閲覧履歴の少ない魔術を纏めて、発表しようと思います。学園内で保管されているのに、知られていない魔術があるのは損失ですからね」
「アトラスさん職権乱用」
闇属性の魔導書を解読する時間を、確保するためでは?
「いえいえそんなそんな、生徒達の勉強になると思うんですよね」
「勉強にはなると思いますけど」
「はい、ですから生徒達にはその様に説明を」
「えぇ……」
まぁ、本当に勉強にはなると思うし、知られず埋もれていく魔術があるのは勿体ないですけどね。
っと言う事で、授業では生徒達と図書室で調べ物をする。
「準備期間で午後の授業がない日と、残りの休日四日間で狩りをして肉を確保したい」
「解りました、学園に許可は取っておきますね。目標はコッコー二十〜三十羽くらいですかね」
「っしゃーやるぜ!!」
「おーー!」
愛好会と魔物使い部のメンバーと一緒に、狩りを予定。
それから……。
「ここで上段から一振り、マルケス君は一歩引いて、ケイネス君は一歩前に出て横薙ぎマルケス君が頭を下げてその間に魔術詠唱を……そうです、初めはゆっくりやりましょう」
「おう」
「はい」
演舞の練習もして行く。
初めは、避けるのに失敗してもダメージを負わない、細い木の枝と水球で……。
「いやこれ、本番も水球でよくないですか?」
「オレもそう思う、ちょっと人に向かって火炎球とか飛ばすの怖い」
「それじゃ駄目だ、派手さが足りない演舞なんだぞ!」
マルケス君は同意してくれるが、危険が伴う相手役のケイネス君の方が反対している。
水でも当たると痛いし、十分派手さは演出出来ると思うんだけれど。
「確かに火属性のが派手だな」
「そうは言ってもなー」
「危険だぞ」
「何回か当たってるじゃん」
「失敗したら洒落にならないぜ」
他の子達も心配している。以前なら、ケイネス君に兎に角迎合していた感があったけれど、自分の意見が言えるようになったな。
「危険なのは解っているけど、やりたいんだ」
「うーん駄目ですね」
「くっ……父も来るんだ、頼むマルコ、先生」
ケイネス君……彼のお家が厳しいのは知っている。何かしら成果らしいものを見せないと、また酷い折檻を受ける可能性があるのか。
「でも今のままでは、駄目です」
「……」
「水球を確実に、全て避けられるようにならなければ、許可できません」
「なら、全て避けられるようになったらいいのか?」
「完璧に全て避けられたらいいですよ。でも、あまり時間もありませんし、狩りにも行きます。クラスでの準備もあるでしょう出来ますか?」
かなり予定が詰まってて厳しい。体力も俊敏性も上がってはいるけれど、回避の訓練ってどちらかと言えば、マルケス君の方が重点的にやっていたからな。
それでも彼はキッと此方を見据えて、やる気を見せた。
「それでもやってみせる! 舐めるなよ!」
「解りました、挑戦するのは良いと思います。でも私が無理だと判断したら、きっぱり諦めて下さいね」
甘い採点をする気は無いけれど、彼の意欲を全て否定する気は無い。
するとケイネス君はマルケス君に向き直って――
「練習に付き合ってくれ、頼む」
「……しかたがないな、いいよ。オレはケイネスに水球をいっぱい当てられるしね」
貴族の習慣的に頭は下げられないが、真摯に頼む。マルケス君の方も少し考えてから、少し茶化しながら了承していた。
「くっ直ぐに当たらなくなるからな」
ふふ、努力、友情。頑張れ!!
「熱くなってきたわね、私たちも練習頑張るわよ!」
「負け……ない、がんばる」
「そうね、日頃の成果を見せなきゃ」
「うぉんうぉん」
「ぴゃー」
「ぐるるぅ」
魔物使い部の方もメンバーとその相棒、マローナさんもやる気を出しているな。
此方は普段から指示に従う事は出来ているから、それを組み合わせてドッグパフォーマンスみたいな感じの演目をみんなで考えた。
「はい、こっちよ」
「行けオッド」
「がぅ!」
マローナさん振り回す長い棒の先、そこに付いた的に攻撃を当てる。何というかみんな楽しそうだ。




