突破
凄い具合悪いんだけどなんとか完成
後で見直すとこ沢山あるかもしれないですが
どぞどぞ~
死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネシネシネシネシネシネ……
悪魔の手先め、死ね!
死に絶えろ!
お前らなんかに生きる資格はない。
ユリアの痛みを、味わって死ね!
「はぁ……はぁ……っセッイ! ハッ! ヤァッ!!」
どのくらいそうしていたのだろう。
僕は猿の魔物を殺し続けていた。
「はぁ……はぁ……くっ、魔力が……」
体力も流石に少なくなって来た、魔法剣の切っ先がふらふらと揺れる、どんどん身体も重くなる。
まだ、まだだ……赤猿はまだ沢山居る、全部殺してしまわなくてはならないんだ。
だが、押さえがたいと思っていた怒りと破壊衝動も、疲労から勢いを失い始めている。
それとは逆に理性が復活し、冷静さが少しだけ戻って来ていた。
改めて僕は状況を確認する。
これだけ魔物を倒したと言うのに、最初とあまり変わっていない景色に正直、辟易した。
後ろを振り向くと何時の間に準備を整えたのか、騎兵隊が前線に出て来て居る。
「遅いって……はぁ……はぁ……」
僕が辺りを見回す為に動くとビシャリグチャリと、湿った音がした。
いつの間に猿の血肉にまみれていたのか、青かった筈の僕のマントが赤紫色に染まっている。
くそっもしかしたら素早さが下がったのはこれせいか?
魔法のグリーブも魔力不足で上手く作動しなくなっていた。
「アキャーアキャー」
「ギャーキキャー」
「アギャーアギャー」
「くっ……」
ヤバいかもしれない、ユリアの死を目の前にして、頭に血が上ってしまった。
考えなしに突っ込みすぎたか。
それでも、それでも許せなかった。今だって許せない、目の前の魔物たち全てを僕は殺したい、殺し尽くしたいんだ。
僕の手で、そうしなければユリアが浮かばれない。
魔物は惨たらしく殺す。そうだそう決めた。
「力が、力が欲しい……今こそ聖剣の輝きが必要なのに」
後悔しても遅いが、全てはあの悪魔の計画通りなのだろう。
今ここに聖剣が無いのは僕の油断が招いた窮地。
だが、何時までも思い通りになると思うなよ。
「僕はこんな事で負けはしない! 決めたんだもう立ち止まらないって」
挫けそうな身体に叱咤して、戦い続けていると、近くで何かが爆発した。
続けて小さな氷の粒が周囲に降り注ぐ。
「何だ? 誰かの魔術か?」
幸運な事にこの赤猿は魔術を使わない、と言うか使えない。それだけの知能を持ち合わせては居ない。
だから仲間が放ったモノに違いないと思うのだが。
どうなっているんだ?
討伐隊は今、押しているのか? 押されているのか?
僕の位置ではそんな事さえ解らなかった。
「ギギャーギギャーギギャー」
「アギャーアギャーアギャーアギャー」
「キキャーギギャーキキャー」
喧しい猿の鳴き声が煩わしい、ただその中に有って、低く響く角笛の音だけは拾う事が出来る。
特殊なリズムのそれは、突撃の合図。
「あの、なんとか言う子爵か」
兎に角進軍して、砦まで行こうと言う腹積もりなのだろう。
確かにこのままじゃじり貧だし、魔物大暴走は思っていた様に直ぐに討伐できるモノじゃなかった。
態勢を立て直す必要がある。
それには砦まで行くしかない、けれど……
僕の仲間たち、最初に突出した者は半数以上、僕も含めて騎馬を失っていた。
どうしろと言うんだ、まさか僕を見捨てるつもりじゃないだろうな?
子爵は王族派だと聞いていたけれど、僕に対してのスタンスは不明だ。
兄王子たちの息が掛かっていたら、僕の命を狙うこともあり得るのか、そうでなくても積極的に助けないとか……
「内も外も敵だらけか!」
そうこう考えている間に、子爵が率いる騎兵たちは矢じりの様になって魔物の群れに吶喊していく。
弓兵を内側に守りつつ、彼らの曲射と魔術を前方に集中させて突き進む。
不味い本当に置いて行かれる。
「主殿! 主殿!」
「はっアマルダか!」
走竜を駆って褐色の女戦士がやって来る。
その行く先を、氷柱の雨が薙ぎ払った。
「主殿ー!!」
「アマルダ!」
差し出された腕に掴まり、グイッと引き上げられアマルダの後ろに乗せてもらう。
彼女は止まること無く、走竜を操って、騎兵たちの後ろに猿の群れを抜けた。
「た、助かったよ、ありがとうアマルダ」
「当然だ主殿!」
大分後方だが、魔術専門のメイド隊を連れたセーラたちも追いかけてきている。
途中仲間を拾っている姿も見えた。
「何とかなったか……?」
騎兵隊はそれなりの犠牲を払いつつ、道を切り開く。
砦に近付くと、そちらからも援護が飛び、門がゆっくりと上がってそれが開ききる前に飛び込んだ。
あ、次主人公出ます