白亜譚
掲載日:2015/12/14
水の呼声、鳥の声、
蔓佳く巻かる透森の、清暉翳せる翠蓋の、
泪染まう、心揺る朝露。
香しき緑の、振りる夢掬い、飲み干す水。
首の翳、途う水。
果て吼ゆる轟、覇者の趨勢。
また命、滔々と流るるか。
滾々手招く泉、風誘う、
揺り渡る鏡の常世、まろび出る。
翡翠の果の子想う眼差し、
抱かれば清める羊水の泉。
実摘む鳥、
歌う頌歌、語る夢物語。
指つつき合う、嘴の愛しさ。
風伝う。
草木の守る白い花、うつらうつらと語る花。
虫来て語う、森の命。
湿土の温もり、昇り、空潤し、
瞳舐む雲、垂る蒼、魅染む夢色、終り無く。
巌這う苔のやわらかく、頬摺り問う、
此処何処、明け無き世希みて、
唇交わす妖精の慈愛、
深々と廣く、悲しく、冷たく、
水浴ぶ體、風の撫ぶこと悶う。
森の間流る水声。
褪めぬ歌、耳遠く溺る、
清む霊駆らる、
母胎に抱かる欣び、
我何処、風浚う問、
彼方より待てる、ひと振りの夢や。
読んでいただきありがとうございました。




