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転校生、入学の日の憂鬱

この作品ではコメディとファンタジーをうまく合わせれたらいいなと思っています。自分はシリアスやバトルの描写を書くのは下手なのでこの作品にはそういうシーンはないかもしれません。

 ようやくここまでたどり着いたんだ。

 

 随分遅れてしまった。…けど、ここからが始まりだ。

 前に進み出て、機械の前に立つ。


「フッフフフ…」

 笑いが止まらない、こんな事があるだろうか。


 目の前の機械が告げたのは。

<葉奔はばしり 刹那せつな、あなたの現在ランクはEです。………ご愁傷様。>

 今までの人生で幾度も聞いてきた最低評価だった。






 今ではもう当たり前のことだが世の中には、魔法が実在する。

 今まで、多くの人々が科学や理論を用いて解明を試みていた、不可思議な現象の多くは魔法によるものであると証明されている。またそれらを扱えるものも確かに存在する。

現在の統計では世界の人口のおよそ5分の1は魔法素質を有しており実際に魔法が使える人間であるという。

 魔法素質とはその名の通り魔法を扱うことが出来る素質のことで、先天性のものと後天性のものの2種類がある。しかし生まれながらに魔法を持つものはごくわずかである。

 かつては差別、弾圧の対象となった俗に言う魔法使いや魔女と呼ばれる存在は現代でまったく違う圧愛を受けているである。

 「魔技的物質創造」によって世界に魔法に対する理解が深まった2040年以降、より魔法に対する理解深め、それまでの差別的認識を払拭するために建てられたのが魔法魔術学園である。

 

4月10日、葉奔はばしり 刹那せつなは今までいた普通科高校から魔法魔術学園東京区第3校、通称「アリア」へと転入した。

 筆記試験、面接共に終了し、迎えた合否発表の日。

 まず審査官から口頭で合格したことを告げられる。

 教育機関最難関と言われる魔法魔術学園に合格した、それは刹那にとっては夢のような瞬間だった。

 続いて床に描かれた魔法陣に入れられ魔法素質の測定が行われた結果、出たのは学園史上初の最低ランクE級である。

 「はぁ…」

 転入試験のことを思い出しながら視線を落とす。

 「忌々しい……」

 手元にある前の学校の所属バッジを見ながらふっとつぶやいた。

 そもそもで幼い頃から一緒に育った連中の中で魔法魔術学園に入っていなかったのは刹那だけである。

 魔法魔術学園は初等部から中等部、高等部まで一貫校で本来途中転入する奴なんてまずいない。普通なら幼稚園などを出たあたりから皆、学園への入学を目指してくる。だから、一般の学校にいる奴らはもともとなる気がないか家の事情で入れないだけである。刹那の場合は後者だった。

  やっと同じところまで来たと思ったら、結果は最低ランクのE。

 つまり、初等部の学生よりも素質が低いということである。落ち込むなという方が無理だろう。

 

 そんな戒那は学園内にある中庭に来ていた。

 しっかりと手入れの行き届いているのであろう中庭は木々や花がきれいに植わっていた。

 合格が決まり、入学はもろもろの手続きが終わった後からなので本来は帰宅してもよいのだがちょっとした用事があったため学園内に残っていたのだ。それにせっかく憧れていた魔法魔術学園に来たのだから用事を済ませる前にしばらく学園内を散策してみようと思ったからだ。

 「あ!おーい」

 中庭を見学していると、突然声をかけられた。

 「おーい。お前だよ、お前」

 声の方に顔を向けると一人の女子生徒がいた。

 「お前だよな、今度新しく入ってきた転入生って」

 「はぁ。まぁ・・・」

 「この学園じゃあ転入生なんてめったにないことなうえに、E級に振り分けられたって。学園内じゃあちょっとした有名人だぜ」

 「・・・・・そう、ですか。・・・あの、すみませんがどなたですか?」

 

 「しっかし、誰が審査員をやったんだろうな?そんな判定結果が出たのに何事もなく入学を許可するなんて、ふつうならあり得ないんだが。眼鏡か、それともサドか?」

 質問してくる割にはこちらの返答を聞かない女子ひとだ。普通なら、無視してこの場を立ち去るのが一番だが。


 緊急事態発生、視界の右側、中庭の入り口に人影確認。

 目標移動を開始。

 すごいスピードだ、ここまで後6秒くらいか?まるで飛んでるみた・・っ!?


 ドゴッ

 「うぐっ!」

 次の瞬間、戒那の腹にきつい蹴りが飛んできた。

 「ようやくやってきたのね、ここに」

  腹を抱えて悶える戒那の前に立つのは先ほどの女子生徒よりも幼さが見える生徒。

 名前は木下きのした 亜紀あき、魔法魔術学園高等部1年生。aクラス所属、魔法素質Cランク。学園内にいる戒那の幼なじみの一人である。

「な、げほっ・・・なにすんだ!」

「あんたねぇ、普通ここに来たらまずあたしたちのところ《クラス》にくるのが普通でしょうが!なに他の生徒と楽しげにお喋りしてるのよ」

「どうせ今日は休校日で誰もいないだろ、クラスの場所だって知らないし。第一俺が誰と話していようがお前には関係ないじゃないか」

「何ですって!?あんたっ――」

「あー、仲良く会話しているところ悪いんだけど」

 先程から放置されていた女子生徒が口を開く。

 「えっ!先輩!?す、すいません。先輩の前でお見苦しいところをお見せしました」

 「いやぁ、謝らなくていいさ。こっちも新入生君を引き止めちゃってたしな」

 急に態度を変える。

 「じゃあ、私はそろそろ行くよ。またな、木下。新入生」

 後ろ手に手を振りながら去っていく先輩と呼ばれる女子生徒。

 後に残された俺達は件の教室へ向かう。

 

 今、俺たちはCランク棟にあるとある教室に向かうために廊下を歩いている。

 「ところでアキ、そのクラスに居る連中ってもしかしてあいつらか?」

 「ええ、そうよ。みんなも戒那に会いたがってたし」

 「それは俺をいじりたいからだろ。・・・・・全部あの機械のせいだな」

「あははは。そういえば戒那は昔からそういう残念なところあったわね」

 教室に向かう間に交わされる会話

 幼なじみというのは不思議なものだと思う、口喧嘩なんていつものこと、たいていすぐ普通に会話を始められるのだから

 到着した教室の表札、2−A。ここがこれから俺が通う教室になる場所。


「おっ?」

「来たみたいですね。」

「………ん。」

扉を開けて教室内に入ると案の定、見慣れた顔ぶれが揃っていた。

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