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第十話
は?なんだと?
「今なんつった?」
『我と契約してくれといったのじゃ』
どうやら聞き間違い出なかったようだ。
「契約って使い魔契約か?」
『それ以外の何がある』
「契約する理由は?」
『そなたを乗せて飛ぶのはよいが我は契約者でない
ものを乗せて飛ぶのがいやでな。ならばそなたと契
約してみようと思ったのだ。それに我を倒したそな
たが気に入ったのでな』
なんか面倒なことになってきた。
「俺はこの先旅をする予定だ。それにお前みたいな
でかい龍を連れて行けるか」
『そんなことならば大丈夫だ。我は人の姿をとるこ
とができる』
「まあそれならいいだろう。それに乗せていっても
らうわけだしな」
この際だから契約しよう。人型になれるのなら邪魔
にもならない。契約方法も『森羅万象の叡智』で分
かる。使い魔契約は基本相手に応じた魔力を与える
ことで契約する。まれに魔力でなく別のものを要求
するものもいるが。
「契約をしよう。無限龍。お前は俺に何をを望む」
『我の求めるものは名だ。我は固有名を持たぬ。
それに魔力などいくらでもあるのでな』
名前ときたか。名前となるとやはり日本名がいい。
無限龍も東洋龍のようだし。
「なあ、お前って性別はどっちなんだ?それが分か
らないと名づけようがないんだが」
『我の性別は雌、人間で言う女だ』
女か。ならば雪奈にしよう。雪のような白銀の鱗だ
しな。
「きめた。お前の名は雪奈だ。お前の白銀の鱗が雪
のようだったからな」
『雪奈か。なかなかよい響きではないか』
「ならこれで契約成立だな」
『うむ。我の名は雪奈。そういえばそなたの名前を
聞いていなかったな』
そういえば名乗ってなかった。
「俺は湊。紅月湊だ」
『紅月湊か。よかろう。我の名は雪奈。この名を引
き換えに我は紅月湊に仕えよう』
そういうといきなり無限龍の体が輝いた。
『うむ。どうやら契約が成立したようだ。これで人
の姿をとることができる』
そういうとまた体が光ったと思うとすぐに消えそこ
には腰まで届く純白の髪と鮮やかな真紅の瞳を持つ
長身の美女がいた。あまりの美しさに見とれてしま
った。幸いなのはテンプレ的な裸ではなく淡い青の
ローブを着ていたところだった。
「契約が終わったのならさっさと俺を乗っけてって
くれ」
「まあそういうな主殿。その前に我の住処に来てく
れ。今まで溜め込んだいろいろなものがある。契約
したのだからそれはみんな主殿のもの。だからそれ
をどうするか決めねばな」
なるほど神獣と呼ばれる存在が今まで溜め込んだも
の。かなり興味がある。
「わかった。じゃあ住処とやらに案内してくれ」
そういうと雪奈はうなずいてはじめに出てきた場所
に向かった。俺も見てみるとそこは50mほどの大
穴があいており深さは分からないがかなり深そうだ。
「ここが我の住処の入り口だ。ここから降りるしか
ないが主殿なら問題ないな」
「なあ、さっきから思っていたんだが俺のことを主
殿と呼ぶのはやめてくれ。なんかむずがゆくなる」
「うむ。そういわれるならそうしよう。ではなんと
呼べばいい?」
「そうだな、俺のことは奏ででいい」
「わかった。では奏、行くか」
「ああ」