1章-会い-
朝ってすっきりしない。
目覚まし時計に手を伸ばしながらそんなことを考えていた。
休み明け、こんな真冬にはなかなか起き上がってくれない体を必死に起き上げて、
家にある元鏡現服掛けから制服をとる。
その鏡を見たとき、小鳥遊雄の日常は消え去った。
鏡には、右手で男物の制服を持った黒髪の美少女が立っている。
自分が今見ているのは鏡だ。そしてその鏡には自分ではない、でも確かに自分が映っている。
「はぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?」
そう叫ぶと、階段でどたどた足音が聞こえる。 妹の憂だろう。
「おにいちゃーん!今の叫び声何〜?学校遅れるよ〜」
そうだ、俺は学校に行かねば。
いや、そんなこと考えてられない。
今俺は女の姿をしているのだ。
妹の前で状況説明しても妹が理解するわけが無い、いや誰でもだろう。俺でもだ。
「入るよ〜?」
「あぁ、ちょっと待て!今入るな!」
『どうしたのお兄ちゃん、声もなんだか変だし。」
言われて確認する。そういえば声もなんだかいつもより高い気がする。
「早く来てよ〜?」
そういうと妹の足音は徐々に小さくなっていった。
「どうすんだよ...」
これから先、俺はどうすれば良いのか。
服だって着られない、家族にも説明しなけりゃならん。
そんな時、さらに俺の頭を混乱させる事態が...
「おはようございます」
「うわあっ!?」「お前だれだ!」
俺が寝ていたベッドの上に白い羽の生えたきれいな女の子がいた。可愛いし、乳も俺のタイプだ。
「驚かせて申し訳ありません。」
そういった彼女は俺に名刺を渡してきた。
「私、こういうものです。」
「地球防衛軍 隊員No.0569 冴山夏希」
「地球...防衛軍?」俺の頭に?が浮かぶ。
冴山夏希という女の子は、無表情だった顔を微笑みに変えた。
「はい、私、地球を防衛してます」彼女はテヘッというように顔を傾けた。