純粋な愛情の行き先
朝日を浴びて僕は目を覚ました。雀の囀りも聞こえる。清々しいほどの朝だ。目を擦り窓の外を眺める。雲一つ無い空がそこには広がっていた。
僕は顔を隣りに向ける。目の前に彼女の顔があった。まだ寝ている。僕はそんな彼女の寝顔を見て微笑ましくなる。
僕の自慢の彼女だ。同じ大学の同級生で、僕の一目惚れから始まった恋だが、今はこうやって一緒に住んでいる。そんな日々がもう一ヶ月ほど続いている。
「さてと……」
僕は彼女を起こさないようにベッドから起き上がると、寝巻きを脱ぎ、クローゼットから服を取り出す。今日も朝から大学の講義がある。あまり行きたくは無いが、単位の為だ、仕方が無い。デートでもないので、手頃な服装で身なりを整える。
キッチンに向かい、冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップに注いだ後それを飲み干した。簡単だがこれを朝ご飯だと割り切ろう。
ソファに腰を掛けテレビを点ける。彼女を起こさないように音量を下げ、朝のニュースに目をやった。画面の中のキャスターが深刻そうな顔でニュース原稿を読んでいる。最近、物騒なニュースが世間を騒然とさせている。ニュースの内容は僕の住む地域で惨たらしい事件が発生したしたという内容だった。
『女性の変死体の謎』
そんな見出しが画面端に映し出されている。何でも、女性の死体が街で発見されたらしい。まだ身元もわかっておらず、今も身元確認が行われているらしい。
僕はテレビを切り立ち上がってベッドに向かった。彼女の傍に腰を下ろし、彼女の頭にそっと手を置いた。
「今日は学校の授業お昼前に終わるから待ってね。外は物騒だから外出はしないようにね」
寝ている彼女にそっと囁いた。聞いていないだろうがそれでいい。きっと僕が帰ってくるまで彼女は寝ているだろう。
僕はそっと彼女に顔を近づけ、唇を重ねた。彼女の柔らかい唇を感じた後、僕は彼女の首に腕を回した。彼女が愛しくなった。彼女が僕の全てだ。彼女さえいれば他に何もいらない。彼女の良い匂いが僕の心を和やかにしてくれる。
僕は暫くの間彼女の頭部を、身体全体で抱き抱えた。