第一話・少女のありがたいお話
さて。今俺の目の前には何が居るでしょう?
1、鬼 2、鬼 3、鬼
そう、今俺の目の前に居るのは鬼だ。紛れもなく。
雨漏り(?)は今の所大丈夫な俺の家の中で、目の前の美少女は、鬼のようなスピードで、飯を平らげていく。
「太るぞ・・・・・・」
とさっき言ったら殴られた。鬼だ鬼。可愛い顔しているのに、もったいない。やれやれだぜ。
「あたしの名前は柏木結衣」
さっき聞いた。お前は認知症か。柏木は1つ咳払いをして、
「あなたは「ぞく」というものを知っていますか?」
・・・・・・出た。信じますか?知っていますか?まるでアニメやマンガの冒頭だな。
つか、「ぞく」って。俗?族?属?続?
いやあ、こんなに漢字が出てきた自分を褒めてやりたいな。
そして、俺は、いまさらになって、目の前の少女の様子がおかしいことに気づいた。
目が、違う。緑だったのだが、いや、緑である事に変わりは無いのだが、瞳の色が明るくなった?
口調も、さっきと少し違う。アンタ、があなたになった事とか、だ。俺は、思わず少しだけ身構えた。
俺はさっきの漢字の中から、1つ、この話に合いそうな漢字を選択してみる。
「・・・・・・暴走族とか?」
「まぁ、そうです。いわるる集団、または民族、と言い換えてもいいかもしれません」
・・・・・・怖い。よくわかんないけど、本当に吸い込まれそう。
「この世界にはいろいろな「集団」があるでしょう?例えば、国家、肌の色、話す言語、会社、学 校・・・・・・。それと同じように、我々はいくつかの「集団」に分かれています」
「我々?」俺は聞いた。
「はい。いわゆる・・・・・・そうですね。異世界人、とでも言うのでしょうか。つまり、今現在地球に 居る人間とは違う生命体、と思ってください。話を戻しますと、我々は、「集団」に分かれて、長い年 月、争ってきました。と言っても宇宙全体の征服、などではなく、主に太陽系、銀河系、といったところ です」
・・・・・・スケールデカいよな?そう思うのは俺だけか?
「そして、我々は、太陽系で唯一生命のあるこの地球を征服すれば、この「争い」において、優位に立て ると、感じていました」
少女は、一度口をつぐみ、また話し始めた。
「しかし、「争い」のなか、元々多くなかった、各「集団」の・・・・・・戦闘員?は、どんどん減って いき、一桁、二桁、の「集団」がとても多くなってしまいました。よって、我々は今は、水面下で、地球 を舞台に争っているのです。もちろん、地球征服を狙ってね。・・・・・・しかし、勘違いしてほしくな いのは、この征服をよく思っていない集団が居る、という点です。それが、我々の集団、正確には、柏木
結衣が所属している「集団」なのです」
・・・・・・いや、なのです。と言われても。
「で?お前はそんな信じられるわけの無い話を俺にして、どうすんの?」
「話を続けます」
スルーかよッ!!そして続くのかよ!!
「最後になりますが、「集団」というものには、リーダーが居るものです。・・・・・・すべての「集 団」のリーダーは、必ず、特殊な能力を持っています。・・・・・・すべてのリーダーは何と呼ばれてる と思います?」
いきまり話題を振られても困るような・・・・・・。
「ん~、え?リーダー、じゃダメなの?」
「いえ、そういうわけではありませんが・・・・・・、答えは・・・・・・「神の子孫」
です」
うわ・・・・・・。やべ、そろそろ付き合い切れねーぞ・・・・・・。
一番信じられねえ単語が出てきちゃったもんな・・・・・・。「神」
いやね?デスノ○トとかさ、面白かったけどさ。現実に引っ張っちゃダメだろ・・・・・・。
「・・・・・・なんですか?その目は」
おっと、目を細めてしまっていたようだ。
「・・・・・・話の続きをどーぞ」
なげやりに言った。
「まず、神、というものが存在します。神は絶対的な存在です。また、体の全ての器官は特殊な力を宿し ています。そして、生命の誕生の際、ごく稀に、神の身体の特徴と酷似している生命体が生まれたとしま す。一部分でも構わないんです。その部分において、生まれたその生命体は、神と同じ力をその部分にお いて使えるようになる。これが神の子孫です」
「で、さっきから質問してるけど、俺にそれを話して何になるわけ?」
「決まってるじゃない」
いつのまに元に戻ったのか、そこにいたのは初めて見たときの柏木結衣だった。
そして、また飯をほおばりながら、こんな事を言ってきやがった。
「あんたも「神の子孫」だからよ」