僕と強盗の逃走劇の始まり。
ギャグぽく、けどシリアスも恋愛もある感じにかければいいと思います。
「ばーん」
手を銃に見立てて少女が僕に向かってそう言った。
僕は一瞬何がなんだかわからなくて、首を傾げた。そうすると少女は顔を歪めて、
「貴方、反応がつまらないわ。」
と言った。
それから「ま、いいか」と呟くとレジの上に乗って手で作った銃を僕の額に突き付けた。
「先ずは5万円出しなさい。」
「はあ?」
ずっと意味がわからなくて大した反応を見せなかった僕だが、その言葉には反応しないわけにはいかなかった。
「聞こえなかったの?五万だせっつってんのよ。」
「だせるわけないだろ。君の頭は幼稚園児か。」
「私は…中学生だっ!」
何が気に障ったのか…いや、間違いなく幼稚園児何だろうけど…。とりあえず少女は僕の顎を蹴りあげた。
「ってー!何すんだよっ」
「今のは貴方がいけないわ。さっさと五万出しなさいよ。店から出せないなら貴方が。」
「チッ、仕方ねぇな。」
僕は金をレジから出して少女に渡すフリをして手を掴もうと考えたが、少女の手を掴んだ途端少女があまりにもにっこりと笑うもんだから油断して逆に腕を掴まれて…背負い投げされた。
「っ〜!お前、中学生じゃねえだろ。」
「なっ、小学生だっていいたいわけ!?」
「小学生はこんなことできねーよ!」
少女は僕を暫く見下ろしてから、先程の背負い投げで辺りに散らばった紙幣を拾いはじめた。
「何でこんなことしてんの?」
少女を見て何となく思ったことを口にすると、少女は小さく呟いた。
「居なくなるため」
そう言う少女はどこか寂しそうだったが聞ける訳もなく、ただ呆然と少女を眺めた。
「ところでお兄さん。」
「はい?」
「車持ってる?」
「え、あるけど。」
先程のにっこりとはまた別の黒い笑みを浮かべると少女は拾った五万円を見せて、言った。
「この五万お兄さんがお店からとったよね?」
「いや、それはそうだけど…」
「じゃあ私達共犯ね!」
「はあ!?」
また綺麗に笑うと少女は言った。
「貴方私と逃げなさい。」
こうして僕と少女の逃走劇が始まった。