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第6話 2on2①

凛と莉子の一件から、数日が経った。


凛は以前に比べて、目に見えて口数が少なくなっていた。クラスで隣り合っていても、こちらから話しかけない限り会話が続くことはほとんどない。部活には参加しているようだったが、時折見せる笑顔は薄氷のように危うく、無理に張り付けたものであることは明白だった。


放課後の個人練習も、あの日以来一度もしていない。莉子との諍いを見られてしまった気まずさからか、凛は泉翔と目が合うと、ふいと視線を逸らしてその場を去ってしまう。そんな彼女の避けるような仕草を目の当たりにし、泉翔もまた、今は深く触れない方がいいのだと察するしかなかった。


せっかく縮まったはずの距離が、また少しずつ開いていく。昼休みに体育館の隅で過ごす静かな時間さえ、今の二人からは失われていた。


傾き始めた日差しが、路面に自分の長い影を伸ばしている。あの日から止まったままの凛との時間を、どうすればいいのか分からない。彼女が元気になるきっかけでもあればいいのにと、泉翔はぼんやりと考えながら家路を辿っていた。


その時だった。いつもの公園から、バスケットボールがバウンドする音が聞こえてきた。


「ポン、ポン、ポン……」


規則的だが、どこか苛立ちをぶつけるような重い音。そのリズムを聴いただけで、泉翔の足は止まった。それが誰のものか、確かめるまでもなかった。


コートには、やはり凛がいた。 黙々とシュート練習を繰り返す彼女が、ふと顔を上げる。その視線が、コートの端で立ち尽くす泉翔を捉えた。


「……なにしてるのよ」


少し不機嫌そうに、けれどどこか居心地が悪そうに凛が言った。 「ドリブルの音がしたから、つい」 泉翔が正直に答えると、凛は抱えたボールに顎を乗せるようにして、不貞腐れたようにそっぽを向いた。


その顔を間近に見て、泉翔の胸がざわついた。鼻の頭に、また新しい絆創膏が貼られている。先日の怪我の生々しい記憶が、鋭い痛みとなって蘇る。


「その絆創膏、どうしたんだ」


「……パスキャッチ、ミスっただけ」


吐き捨てるような言葉。 再び、胸の奥でどろりとした怒りが鎌首をもたげる。またあの莉子の仕業なのか。問い詰めたくなる衝動が喉まで出かかったが、あの日彼女に言われた「関係ないでしょ」という冷たい言葉が、くさびのように泉翔の口を封じた。


踏み込めば、また彼女を拒絶させてしまうかもしれない。泉翔はぐっと奥歯を噛み締め、やり場のない拳をポケットの中で握りしめた。


「……そっか」 それ以上、何も聞くことはできなかった。ただその短い言葉を繰り返すことしか、今の自分には許されていない気がした。


「ねぇ、暇?」 不意に、凛がいつもの遠慮のない調子で尋ねてきた。


「今、お使いの途中だ」


「じゃあ、1on1やろう」


「だから、お使いの……」


言い終わるより早く、凛の手からボールが放たれた。反射的に胸元でキャッチした泉翔に、彼女はにやりと挑戦的な笑みを向ける。


「5本先取ね」


有無を言わせぬ臨戦態勢。泉翔は「やれやれ」と小さくため息をついた。しかし、その顔からは先ほどまでの沈鬱な影が消え、どこか楽しそうな色が混じっている。諦めたように買い物袋をコートの脇に置くと、泉翔はボールを床に叩きつけた。


いつもは軽いシュート練習に付き合う程度だったが、凛との1on1はこれが初めてだ。 「やれやれ」と軽く考えていた泉翔だが、ボールを構えた凛の姿を見た瞬間、背筋に冷たい緊張が走った。


凛は、先ほどまでの不貞腐れた少女とは別人のようだった。 重心を低く落とし、鋭く細められた瞳。それは泉翔の呼吸や、指先の微かな震え、重心のわずかな移動を一つも逃すまいと捉えている。


凛の集中力は、常人を遥かに凌駕していた。音という情報を遮断し、視覚と肌に伝わる空気の揺れだけで、泉翔の次の動きを冷徹に読み取ろうとしている。その威圧感は、かつてコートで対峙したどんな強敵にも劣らないものだった。


泉翔がドリブルを開始した。一瞬の隙を突き、右への鋭いフェイントから左へドライブを仕掛ける。並の選手なら置き去りにできる速度。しかし、凛は吸い付くようなステップで、完璧にその進路を塞いできた。


予想外の反応の速さに、泉翔は喉の奥で息を呑んだ。 さらに深いシュートフェイクを織り交ぜて揺さぶりをかける。だが、凛の瞳はわずかにも揺るがない。彼女は泉翔の膝の角度や肩のラインを冷徹に観察し、跳び上がる予兆がないことを正確に見極めていた。


ゾク、と背筋に走ったのは恐怖ではなく、純粋な歓喜だった。 バスケを辞めて以来、心の奥底に無理やり封じ込めていたはずの高揚感が、鮮烈な勢いでまた蘇ってくる。鏡合わせのような自分を相手にしているかのような、恐ろしいほどの手応えに、泉翔の頬は自然と吊り上がっていた。


姿勢をさらに低くし、ドリブルのリズムを急激に変える。凛がわずかに重心をずらしたその刹那を見逃さず、泉翔は一気にリング下へ切り込んだ。完璧なドライブ。凛のディフェンスを完全に振り切ったと思ったその瞬間、泉翔は軽やかに跳び上がり、シュート体勢に入る。


流れるように滑らかで、凛が見惚れるほどに美しいシュート。それは泉翔が得意とする、ブランクがあっても色褪せない芸術的なフォームだった。


しかし、そのシュートが放たれるより一瞬早く、凛が跳び上がった。彼女は泉翔のドライブにも動じず、そのわずかな目の動きと肩の傾きを読み取って、次に泉翔が何をするか完璧に予測していたのだ。


パァン!


乾いた音を立てて、ボールが凛の手に弾き返される。完璧なブロックだった。


「……っ!」


泉翔は驚きを隠せなかった。バスケをやめてからのブランクがあったとはいえ、自分の全力のシュートを止められるとは。 凛はボールを拾い上げると、無言で泉翔に投げ返した。その表情は、達成感や喜びではなく、ただ次に備える静かな闘志に満ちていた。


一瞬の静寂。弾かれたボールが転がる乾いた音だけがコートに響く。 「……やるじゃん」 泉翔が小さく漏らすと、凛は無言でボールを拾い上げ、スリーポイントラインまで戻った。挑むような視線が泉翔を射抜く。言葉は交わさずとも、それが「次は私の番」という合意だった。


今度は凛が攻め、泉翔が守る。


凛がゆっくりとドリブルを始めた。静寂の中、床を叩く一定の音が、まるでカウントダウンのように響く。泉翔は腰を落とし、彼女の重心のわずかな揺れ、視線の機微を逃すまいと、全身の神経を研ぎ澄ませた。


一瞬の静止。次の瞬間、凛が動いた。一気にギアを上げ、電光石火の速さで間合いに飛び込んでくる。その鋭さに泉翔は舌を巻くが、それこそが凛の罠だった。 シュート体勢に入ると見せかけ、凛はその突進の勢いを利用して、真後ろへと跳んだ。


泉翔の伸ばした指先が、空を切る。 空中で高く掲げられたボールは、夕闇に吸い込まれるような綺麗な弧を描き、音もなくリングを通過した。


「フェイダウェイシュートはこうやるんだよ。ふふん」 得意げに胸を張る凛。その顔には、数日間消えていた無邪気な自信が灯っていた。


しかし、泉翔は何も言い返さなかった。 泉翔はただ静かに、重心を落とし直す。その瞳の奥からは、先ほどまでの「やれやれ」といった気の抜けた空気は完全に消え失せていた。底知れぬ深淵のような、冷徹で真剣な光。


その豹変した雰囲気を肌で感じ取り、凛は思わず生唾を飲んだ。


「ポン、ポン、ポン……!」


泉翔のドリブルが加速する。バウンドする音は重く、鋭く、まるでこれから巻き起こる嵐の胎動を予見するかのようだった。 高速のレッグスルーとバックチェンジを繰り返し、凛の意識を揺さぶる。その動きはあまりに滑らかで、凛は必死に食らいつくのが精一杯だった。


一瞬、凛の視線が止まる。 ほんのわずか、零コンマ数秒の隙。それを泉翔は見逃さなかった。


左への鋭い切り返し。凛が反射的に反応したその瞬間、泉翔はさらに逆方向へ、爆発的な一歩を踏み出した。 「――っ!?」 完璧なクロスオーバー。あまりに鋭利な切り返しに、凛の反応は一歩遅れた。 膝が笑い、足がもつれる。体勢を崩した彼女の横を、泉翔の影が風のようにすり抜けた。


彼はそのまま宙へ舞い上がり、軽やかなレイアップを放つ。 吸い込まれるように、ボールがネットを揺らした。


凛は、ただその光景を呆然と見つめていた。 先ほどまでの、互いの読みを競い合う緊迫した攻防とは次元が違う。意図的に作られた「隙」を突かれ、手も足も出なかった一方的な結末。


なぜ、反応できなかったのか。なぜ、彼の動きがまったく読めなかったのか。 目の前で行われた完璧すぎるプレイに、凛は言葉を失い、ただあっけにとられて立ち尽くしていた。


「これで1対1だな」


泉翔は淡々と告げた。だが、その声には隠しきれない高揚感が、楽しげな響きとなって混じっていた。


「……やるじゃん。川神のくせに」


凛は悔しげに眉を寄せながらも、挑戦的な笑みを浮かべた。 泉翔もそれに応えるように、不敵に笑う。 それは、言葉を超えて互いの実力を認め合い、心の中で「最高の好敵手ライバル」として刻みつけた瞬間だった。


それから、二人だけの1on1は熱を帯びて続いた。


泉翔は現役時代さながらの切れ味鋭いドライブで攻め立て、凛はそれを驚異的な予測力と粘り強いディフェンスで阻止する。今度は凛が、持ち前のスピードで泉翔を翻弄し、次々とネットを揺らしていく。


コートには二人のバッシュが軋む音と、荒い呼吸だけが響いていた。 激しい攻防の末、勝負の行方は4対4、次の一本で決まる最終局面マッチポイントにもつれ込んだ。


最後の一本。凛は泉翔のタイトなマークを、空中で体を反らせることでかわした。 「……っ!」 泉翔の伸ばした指先が、わずかに届かない。 静寂を切り裂くように放たれたボールは、綺麗な放物線を描き、吸い込まれるようにリングを通過した。


5対4。わずか一点差。勝負を決めたのは、凛だった。


「はぁ……っ、くそ……負けた……」


泉翔は肩で激しく息をしながら、膝に手をついて悔しそうに呟いた。


「川神、意外とやるじゃん。……パスだけの人かと思ってた」


凛もまた、額の汗を拭いながら、晴れやかな笑顔を見せる。


泉翔はもう反論する気力さえ残っておらず、そのままコートの中央に大の字で倒れ込んだ。


「蓮見こそ、あのスティール……あんなに止められるなんて思わなかった」


「そうね、今回は私の勝ち」


凛は誇らしげに鼻を鳴らすと、泉翔の隣に並ぶようにして、同じく大の字で寝転がった。 二人の視界には、燃えるような夕焼けに染まる茜色の空が、どこまでも高く広がっていた。


だいぶバスケから離れていたが、不思議と体は重くなかった。泉翔は仰向けに寝転んだまま、心の中で自分の体の感触を確かめていた。むしろ、激しく動かした筋肉の熱が心地よかった。


もっと動けないかと思っていたのに、体が勝手に反応した。かつてのあの感覚。指先に残るボールの感触や、一瞬の隙を突く鋭い踏み込み。眠っていたはずの感覚が、彼女の熱に引きずり出されたような不思議な充足感があった。


内側に灯った小さな火種を隠すように、「もし現役のコンディションだったら、もう少し動けたかな」と泉翔は小さく呟いた。


その言葉を聞いて、凛はくすりと小さく笑った。彼女も空を見つめたまま、どこか楽しげな声で返す。


「スポーツに『たられば』はないよ。それに、今の川神に勝ったのは私なんだから」


「……違いないな」


泉翔は苦笑し、素直に引き下がった。ブランクがあるとはいえ、本気を出した自分をねじ伏せたのは、紛れもなく隣にいるこの少女だ。その事実が、悔しさ以上に妙な心地よさを彼に与えていた。


熱を覚ますかのように、冷たい夜風が二人の体を吹き抜けていく。自然と汗が引いていくのがわかった。


「……で、どうだった? 少しはすっきりしたか」 仰向けに寝転んだまま、隣で同じ空を見上げる凛に、泉翔はそっと尋ねた。


凛はすぐには答えず、しばらくの間、何かを飲み込むように黙り込んだ。


「……うん。すっきりした。でも、やっぱり悔しい」


「何に対してだよ」


泉翔の問いに、凛はまたしばらく沈黙し、それから震える声で静かに続けた。


「全部……」


凛の瞳は、茜色の空を映して揺れている。莉子の悪意、チームでの疎外感、そして自分の耳のこと。これまで誰にも見せず、ひたむきにボールを追いかけることでやり過ごそうとしていた痛みのすべてが、その短い沈黙に凝縮されていた。泉翔との1on1で本気でぶつかり合ったことで、無理に閉じていた心の蓋が、ついに外れてしまったのだ。


静まり返ったコートに、不意に、微かな音が混じった。


「…………っ」


隣から聞こえてきた、短く鼻をすする音。 それが、彼女が必死に堪えていた限界のサインだと気づき、泉翔は空を見上げたまま、胸を締め付けられるような感覚に陥った。


「……泣くなよ」


並んで空を見たまま、泉翔は小さな声で呟いた。 けれど、凛からの返事はなかった。彼女は顔を横に向け、腕で目元を覆い隠してしまう。


言葉はなくとも、彼女の肩が微かに、けれど激しく震えているのを、隣にいる泉翔は痛いほど感じていた。沈みゆく太陽に照らされた彼女の横顔は、今にも壊れてしまいそうなほど、小さく、脆かった。


夕暮れの空が二人を包み込み、コートには濃密な静寂が満ちていた。 凛の流す涙に、泉翔はかけるべき言葉を見つけられなかった。ただ、今はこうして隣にいることしかできない。


だが、その静かな空気を、アスファルトを擦るような不快な足音と、湿り気を帯びた声が乱暴に踏みにじった。


「あーあ、せっかくのいい雰囲気を邪魔しちゃって悪いねぇ」


声のした方に目を向けると、コートの入り口に二人の男が立っていた。 だらしなく着崩した服に、派手な染髪。手に持ったコンビニ袋をカサカサと鳴らしながら、気だるげに、けれど明らかに二人を標的にした足取りで近づいてくる。


「さっきから響いてんだよ、ボールの音が。いい加減うるせえんだわ」


一人の男が耳をほじるような仕草をしながら、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべてコートに足を踏み入れてくる。もう一人がそれに続き、大股で二人のもとへ詰め寄ってきた。


「おい、聞いてんのかよ。……お、なんだ、こいつ泣いてんのか?」


凛は顔を伏せたまま動かない。その無防備な背中を、まるで値踏みするかのような目で見下ろす男たち。その視線に、泉翔の全身を激しい嫌悪感と怒りが駆け巡った。彼は弾かれたように立ち上がり、男たちの視線を完全に遮るように凛の前に立ちはだかった。


「なんだ、お前ら。何しに来た」 低く、地を這うような泉翔の声に、男たちは面倒くさそうに顔を見合わせた。


「なんだよ、威勢がいいねぇ。野郎に用はねえんだよ、邪魔だからどっか行けよ」


「……黙ってろ、行こう蓮見」


地を這うような、低い殺気を帯びた泉翔の声。男たちは一瞬ひるんだが、すぐに鼻で笑うと、足元に転がっていたボールを無作法に蹴り上げ、手で受け止めた。


「それに触るな……!」


凛が弾かれたように叫んだ。その声は怒りに震え、鋭く男たちを射抜く。


「そのボールに、あんたたちの汚い手で触らないで!」


「おっ、やっと声が出たか。なんだ、案外元気じゃねえか」


男はニヤニヤと下品な笑みを浮かべ、もう一人の仲間に向かってボールを放り投げた。


「ほらよ、パス!」


「おっと。なんだよ、いいボール使ってんじゃねえか」


男たちは二人の目の前で、ひけらかすようにボールを投げ合い、弄び始めた。凛が守り、慈しんできた大切な場所が、無神経な悪意によって汚されていく。


「……返しなさいよ。クソ野郎、それに触るなって言ってんの……!」


一歩、凛が詰め寄る。その瞳には涙の跡が残っていたが、今はもう怒りの炎がそれを焼き尽くしていた。


「あぁ? なんだこいつ」


男は凛の勢いに一瞬顔をしかめたが、すぐにまた卑しい笑いを顔に張り付けた。


「ここに落ちてたから、親切に拾ってやっただけだぞ? 感謝してほしいくらいだわ」


男たちは顔を見合わせてケタケタと笑い、わざとらしく凛の頭上でボールをパスし合う。 「……返せ」 泉翔が再び、低く威圧的に告げた。男はボールを片手で掴むと、ふと思いついたように口角を歪めた。


「そうだな。返してほしけりゃ、2on2で勝負しろよ。俺らが勝ったら、このボールは借りてくぜ。ついでに……そっちの女も、たっぷり遊んでやるよ」


下品な挑発が、静かなコートに響き渡る。 凛は怒りで顔を紅潮させ、今にも飛びかからんばかりに一歩前へ出た。その肩を、泉翔が強く掴んで制した。泉翔は凛の耳元に顔を寄せ、その横顔を見つめながら静かに尋ねた。


「蓮見……今の、なんて言ったか分かったか?」


泉翔は知っている。音を失っている彼女には、今の卑劣な罵声は届いていない。だからこそ、彼女が何を感じて戦おうとしているのかを確かめたかった。凛は一瞬、戸惑ったように首を横に振った。


「……わからない。聞こえなかった。でも――」


凛は泉翔の手を振り払うように一歩前に出ると、唇の動きと、男たちの下劣な視線からすべてを悟ったように言い放った。


「唇の動きで、馬鹿にされてることくらいわかる。……やろう、2on2。あいつら、絶対、許さない」


その言葉を聞いた瞬間、泉翔から迷いが消えた。


「……わかった。買ってやるよ、その安っぽい挑発」


男たちはニヤニヤと笑い、ボールを泉翔に投げ返した。


「うぜぇガキどもだな。いいぜ、来いよ」


男が舌を出して挑発する。泉翔の瞳に、静かだが消えることのない闘志が宿った。


「勝って、あいつらを黙らせるぞ」


「……うん!」


凛は短く、けれど力強く応じた。彼女の瞳には、泉翔への絶対的な信頼が満ちていた。泉翔は再び男たちに向き直った。その瞳は、凛への侮辱に対する怒りと、ボールを奪い返すという執念、そして再びコートに立つ「司令塔」としての熱に燃えていた。


「行くぞ」


その一言を合図に、二人の反撃が幕を開けた。

第6話 2on2①をここまで読んでくださりありがとうございました。

二人の気持ちや練習風景など少し描いてみました。次回は、チンピラたちにどう立ち向かっていくのかお楽しみにしててもらえたら嬉しいです。

今回もまた作品のご感想などお待ちしておりますので、引き続き次回エピソード更新までお待ちいただけますと幸いです。

それでは次回エピソードでお会いしましょう。

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