表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

Mっ気令嬢は断罪される

作者: 衣澄しう
掲載日:2025/12/29

初投稿です。よろしくお願いします。

かなりゆるふわ設定です。

R15は念の為です。

 煌びやかなシャンデリアの輝く学園『ルーザー』の大ホールには多くの貴族の子どもたちが集い、上級生の卒業の式典を盛り上げていた。

 そして今まさに卒業パーティーが始まろうとしていた時だった。それを制止する声に皆一斉に動きを止める。

 壇上にはこの学園で二年に在籍している王太子のオリヴァーとクラスメイトで聖女のキャロルが、ホール中央にいる同じくクラスメイトで王太子の婚約者である私に複雑な表情を向けている。


 あぁ、これが最近大衆小説や舞台で流行ってる婚約破棄劇場というものなのね。

 

 昨今、婚約破棄劇場は低い身分の女性たちの間で流行り楽しませていたが、高位の貴族女性の間では婚約者にいつ自分が破棄されてしまうのか、明日は我が身と戦々恐々としていた。

 

 もしかして?いやもしかしなくてもいよいよ私に?

 何だかちょっと背筋がゾクゾクして胸が痛むようなトキメくような不思議な感覚に陥りながら、後方を向いていた私は二人の方に向き直る。

 

 貴族の令嬢や令息たちが私を遠巻きに取り囲むように立ち、チラリチラリとこちらに視線をおくりながら密やかに噂話に花を咲かせている。


「アシュリー・シェフィールド公爵令嬢!」

 オリヴァーの声が高らかにホールに響き渡る。

「君と私の婚約は今日を以て破棄する事となった!」


 やっぱり来たわ〜。

 そう思いながらも、少し疑問を感じて首を傾げる。

 

 いつも私に「好きだ」とか「愛してる」とか言って抱きしめてくる王太子は、今日はそんな態度を微塵も見せず、私に婚約破棄を突きつけてくる。つい昨日も何だかすごい甘い言葉を吐いていた気がしたけど急にどうしたのかしら?

 

 よくよく二人の話を聞いてみると、私が平民出身の聖女キャロル様を虐げた事が原因らしい。

 

 え?虐げた?全く心当たりがないけど。

 あぁ、でもそういえば一・二回注意した事があったかしら。学園内で婚約者のいる令息に色目を使ったり、待ち伏せしていたりすると相談されて確認と注意をした事があった。

 どうやらそれを、虐げられたと感じたようだ。

 でもそれを大袈裟に捉えて王太子に泣きつくなんて。


 私はそこでため息をついた。

 だってこんな事でキャロル様の言っている事を鵜呑みにして、事実確認もせず私に婚約破棄を突きつけてくるなんて。王太子としての資質に欠けているんじゃあありません?


 かと言って、私自身この状況を辛いとか悲しいとかも思っていなくて。

 昨日までのデロ甘な彼が、意外にもあっさり婚約破棄を突きつけてきた事に少し身震いがした。

 ジワジワと胸の熱さを感じてすごく興奮しているのが分かる。


 そう言えば、昨日彼はこんな事も言ってたっけ?

「本当の君を私は知ってしまったかも知れない」

 

 私に聞こえるか聞こえないか分からないくらいの小さな声で耳元に囁いてきた。


 自室で抱きしめられながらそんなこと言われてしまったら、普通ならキュンってなるところなんだろうけど。

 私はそうならない。

 

 でも……本当の私、とは……?


「今は秘密だ。……楽しみにしていて。君がとても悦ぶコト、私がしてあげるから」

 彼はそう言って最後までは話してくれなかった。


 ――で、これが私の悦ぶコトだったのかしら?


 思考がそこまでいったところで、王太子の言葉で再び現実に引き戻される。

「聖女は国の宝だ。その聖女を蔑ろにした君の罪は重い。君との婚約を私は破棄し、君を静寂の塔に五年間幽閉する」


 パーティーに参加していた学生たちは一層ざわめいた。

 それはそうだろう。公爵令嬢である私の有責で婚約が破棄され、しかも王城の敷地内の塔に閉じ込めるというのだから。


 ……閉じ込めて……どうするのかしら?

 ふとした疑問に再び不思議な感覚に襲われる。ジクリジクリと胸が痛むような、でも自然と頬は緩んでしまうこの感じ。


 その自分の感覚を一つひとつ丁寧に探っていく。

 これは……。

 

 そう思ったところでキャロル様が口を開いた。

「本当に良かったですわね、オリヴァー様。これでオリヴァー様もアシュリー様から自由になれましたし、辛い思いをした私も報われますわ」

 キャロル様は勢い良くオリヴァーの腕に抱きつき、大して大きくない胸を無理やり押し付ける。彼女の声色は一際弾んでいた。

 オリヴァーはそんな彼女を愛おしそうに見つめ微笑み掛けている、ように私からは見えた。

 

 たぶんこれは……悋気……ね。

 私キャロル様に嫉妬しているんだわ。

 

 彼女に微笑み掛けるオリヴァーを見ていると、やはり胸が痛むのだが、辛い訳ではない。

 寧ろ…………嬉し……ん?


 私……嫉妬しているはずなのに……嬉しい?

 え?でもこれなのよね!?

 オリヴァーが言っていたのは。

 動揺に恐れ慄く。

 


 彼の言う静寂の塔。

 それは王城の敷地内にありながら魔障――魔力が変質して負のエネルギーが靄のようになった物――に侵されている。漆喰を塗り込めたかのような分厚く複雑な色合いを醸し出した煉瓦に魔石の粉を練り込んだ石塊を混ぜて積み上げた無音の塔。

 

 その塔に三年前赴いた聖女が、覚醒したばかりのキャロル嬢だった。

 聖女は他の人間の魔力を自分の魔力として使う事ができ、それを使い浄化や癒しの魔法を使えるという。

 

 彼女はオリヴァー様と二人、お互いの魔力を馴染ませ、一つの魔力としてその魔力を使い塔を浄化した。


 それはいいことよね。本来なら褒章ものだし。それ自体に私も不満はない。

 

 でも、二人の魔力を一つの魔力するという事がどう言う事なのか、私はよく知らないけど、噂によるとそうする為には二人の間をゼロ距離にする必要があるらしい。ゼロ距離に。


 この際、体のどの部位がゼロ距離になったのかなんて生々しい疑問は抱かないようにするけど、それでも婚約者を差し置いてどうなんだろう?って思わなくはない。

 思わなくはないんだけど。

 

 何と言うか、感情と思考は別物で。

 五感で触れた情報は自分の感情を通じて肉体に作用する。

 だから塔で二人の関係を見てしまった時には多少複雑な気持ちにはなったもののそこまで感情が揺さぶられる事はなかった。

 でも今目の前で二人が私を罵り、婚約破棄を突きつけてきた事によって体が反応したのは間違いなくて。

 この心地よさに素直に、まぁいっかって思ってる自分もいる。


 でも現実はそう簡単ではないよね。


 とりあえず、静寂の塔がどういう物かは置いておいてもそこに五年閉じ込められるという事は、外に出る事は勿論できないし、両親や兄に会う事もできないという事で、そこに出入り出来るのは王族とその護衛官のみだ。

 

 五年もの間、家族に会えないなんて……悲しいけど……虐げられてる感が…………はぁぁぁ、やっぱり心地良い。


 なんてまた体の反応に流されている。

 

 私の胸がドキドキし過ぎてキュウゥッと締まる。呼吸すらもしづらくなってハクハクと程よい息苦しさに私は心を躍らせた。

 

 あぁ……終わらないで欲しい。

 オリヴァー様に責められているこの時間が愛おしい。

 ずっと……ずっと続けばいいのに……。


 気がつくと私はこの時間が永遠に続く事を願っていた。

 だからオリヴァー様の言う事を特に否定する事もせず塔に幽閉された。

 この断罪劇の顛末を、こうして私は知る事なくこの後五年……ではなく一週間程静寂の塔で穏やかな生活を送る事となったのだ。

 

 その間に聖女キャロル様は辺境の修道院に送られ、関係した高位貴族や教会関係者は罰せられたらしいが、私は塔から出た後にそれを知る事になる。


 だけど、知らなくても私は良かった。この塔に幽閉されたという事実だけで、この高揚感からは逃れる術は無くなったのだから。


 あぁ……幸せだなぁ。


 幽閉された塔の中で私は胸を押さえながらウットリと微笑みを浮かべていた。


***


 王太子である私は、大ホールの中央で佇む婚約者のアシュリーを見つめていた。


 今目の前で断罪されている彼女は、恍惚とした表情を浮かべ口元に微笑みを讃えている。

 そう、この顔だ。

 彼女が悦んでいる事を私はこの表情で確信した。


 たぶん彼女は虐げられる事で悦びを感じる、そういう性癖の持ち主なのだろう。


 そして私は彼女のその表情に、ますます煽られて更に虐めたくなってしまう。

 きっと私は彼女とは逆だ。虐める事で悦びを感じる。彼女の見せた表情に私は自身の興奮を呼び起こされた。


 アシュリーは衛兵と共にホールを後にした。彼女はこのまま静寂の塔に幽閉される。

 だが、それもそう長くはならないはずだ。


 その静寂の塔。

 それは聖女であるキャロル嬢と私が初めて出会った場所で、アシュリー以上に距離を縮めた場所だった。

 距離を縮めたというのは精神的な距離ではない。

 

 私とアシュリーは七歳の時からの付き合いだ。その頃からずっと婚約していて週一で茶会をする仲だ。学園に入ってからは毎日顔を合わせ、手や顔に触れる事を許してもらっている。

 だから、簡単にその上をいく精神的な距離感をキャロル嬢との間に持つ事は出会ってからの時間からいっても難しい事だろう。

 

 これは物理的な距離の話だ。


 聖女には他人の魔力を自分の魔力として使用できる力がある。その力を使ってこの塔を浄化する必要があった。


 その力を使うには、ゼロ距離になる必要がある。


 ゼロ距離――この場合のゼロ距離とは、アシュリーにしているような手や顔に直接触れるといった距離感ではない。


 更に近く。

 ただ、問題はある。私にはアシュリーという婚約者がいるからだ。婚約者がいる身でその距離感はこの国の倫理観に反する。だが、この静寂の塔の浄化に必要な魔力は、王族のものである事が必須であった。現在の王族で独身なのは私と弟の第二王子だけだ。弟は歳が離れていてまだ十歳に満たない。魔力制御も難しく今回の浄化には向かない。結論、私しかいなかったのだ。


 そしてフォーヴズ家と王家でシェフィールド公爵家に情報が漏れないよう契約魔法を結び、塔の浄化を行う事になった。

 

 私とキャロル嬢は、塔の一階、一枚布を天井からグルリと円を描くようにぶら下げた空間の中で二人、下着姿で抱き合う。


 魔力をキャロル嬢に委ね、塔を浄化する。

 彼女の浄化の力は一瞬で白く眩い光で塔全体を覆いつくした。


 浄化の済んだ塔は、現在光の塔と呼ぶ者もいるくらい王城を明るく照らしている。


 あの時はかなり油断していた。

 私とキャロル嬢はこの塔の浄化を行った後、塔から出てすぐに城に戻れば良かったのに、あまりの疲労に途中で二人で休憩してしまったのだ。木陰で並んで肩を寄せ合い腰を下ろしていたところアシュリーに遭遇してしまった。

 私たちは下着姿ではなかったものの、かなり薄着であったし、キャロル嬢は力を使った後だった為私に身を預けていた。


 それがアシュリーの嗜好を理解した瞬間だったのだ。

 彼女は私たちを見て、目を大きく見開いていた。驚いたのだろう。


 その後、悲しい表情をするかと思いきや、先ほどのような恍惚とした表情を浮かべたのである。

 

 彼女の嗜好はキャロル嬢に伝わったかは分からないが、この一件がきっとキャロル嬢を助長させたのだろう。

 

 私に婚約破棄させてアシュリーを苦しめ、王太子妃の座を奪いたいというキャロル嬢の企みは以前から知っていた。

 だから普段からアシュリーによる虐めを捏造していた彼女の罪を詳らかにする為、私はこの場を選んだ。

 卒業パーティーの前ならば来賓や保護者、卒業生は一旦退席していて在校生しかいない。

 

 この罪を明らかにしてキャロル嬢を追放、アシュリーの身の安全が確認できたら幽閉を解けばいい。

 そうして再度婚約を結べば、アシュリーに対する世間の目も多少は和らぐだろう。


 私はキャロル嬢の姿を一通り眺めた後、彼女が絡めてきた腕から避けるように距離を置く。

 聖女は驚きのあまり目を見開いて私を凝視した。

 それはそうだろう。

 好きでもないキャロル嬢をこれまでアシュリーを見つめるかのような、狂おしいほどの眼差しで見つめてきたのだから。


 それも何の為かと問われれば、アシュリーを害する虫どもを一気に排除する為だ。聖女の派閥に属する高位貴族や教会の輩を退けて、一新する。


 国王陛下である父の指示で国内の問題を解消すべく探っていたところ、アシュリーの周りで不穏な動きをしていた高位貴族等が聖女を支持している事を知った。そして彼らが国家予算の不正に加担しているという事も。

 アシュリーが聖女を虐げたという罪の捏造は彼らがやっていたという事の裏付けが取れてからは、私は此れ幸いと奴らを一網打尽にすべく、キャロル嬢を利用する事にした。


「聖女キャロル・フォーヴズ。公的資金の一部流用、及び虚言妄言により公爵令嬢を虐げた罪、他にも余罪が色々とあるようだ。話を聞かせてもらおうか。――彼女を連れて行け」

「オリヴァー様!ど――どうして?!」

 キャロル嬢は表情を歪ませた。彼女にとってこの状況は全く想像だにしていなかったのだろう。


 衛兵に指示し、キャロルを捕え連行させた。

 彼女は暴れて抵抗したが、日頃訓練している衛兵に敵う訳もなく後手に縛られ、大ホールを後にした。

 

 彼女に加担した高位貴族や教会の神官、司祭諸々証拠は揃っていたから捕える事は容易だった。

 

 そうして三・四日後には穏やかで静かな時間を過ごす事が出来ていたのである。


 

 私は静寂の塔最上階の部屋の前にいた。

 それはアシュリーが幽閉されている部屋の前だ。


「アシュリー、私だ。ここを開けてもいいだろうか?」

 扉をノックすれば、施錠されている部屋へ入室の許可がすぐに出た。私は持ってきていた鍵で開錠すると扉を開けて部屋に入った。


 部屋にはアシュリーが一人、ソファから立ち上がったところだった。

 少し痩せた彼女は、痩せた事で前より庇護欲を唆る容姿になって見えた。


 その所為か?湧き上がってくる喉が渇くようなこの感覚は…………。


***


 び……びっくりした!

 オリヴァー様が訪ねてくるなんて思いもしなかったから!


 私は動揺してあわあわとソファから立ち上がり、戸棚から茶器を出してお茶の準備を始める。

 

 するとオリヴァー様は私が座っていたソファの向かいに座り、此方を向いている、と思う。


 私は背を向けているからハッキリとは分からないけど、動きを止めているから、こっちをジッと見ているんじゃないかしら?そんな気がする。


「アシュリーは」

 オリヴァー様は私の背中に向けて話しかけてくる。

 そんなに近距離ではないはずなんだけど、ゾクゾクしちゃうのは後ろから声かけられてるからかしら。


 オリヴァー様はもう婚約者ではないのだから、私がこんな風にゾクゾクするのもおかしいわよね?

 そう思ったところではたと気づく。

 

 オリヴァー様はキャロル様が本当に好きになられていたはず。私になんて気持ちはないはずだわ。

 それに対して私はまだオリヴァー様の事が好きなのかしら?

 ……あれ?そもそも、好きだったのかしら?


 もしかしたらこの私の嗜好って好きって気持ちに対して働くものではないのかもしれない。

 

「アシュリーは、辛くはなかったか?婚約者だった君にこんな思いをさせるなんて。本当はもっと穏便に済ませたかったんだが……」

「いえ?全然。寧ろとても楽しくさせていただきました。ありがとうございます!」


 そう応えて、ハッとする。

 婚約者!オリヴァー様の婚約者という立場に対して働くものだったとしたら。

 

 オリヴァー様の婚約者だった私ではない『他の女性』に対して『オリヴァー様が()()で想いを寄せている』という状況に、私の嗜好は反応するのかもしれない。

 

 って事は私はオリヴァー様が好きなのではなくて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という状況が好きだったんだ。

 

 そしてオリヴァー様がキャロル様によそ見ではなく本気になっているというのも大事なポイントね。


 私は自分を完全に理解した。


「え?」

「たぶんあの状況が良かったんだと思うんですよね」


 あの状況になって、二人が本当に仲良くしている姿をじっくりと見た事で気づけた。


 だから大丈夫。私は婚約破棄されたままで。

 

「大丈夫ですよ。殿下にはキャロル様が本当にお似合いですから」

 ニコリと殿下に向けて微笑む。その表情は多分これまでに見せた笑顔の中で一番スッキリとした表情だっただろう。


「え?待って。私は君の事が一番――」

「私の性癖(しあわせ)は、きっともっと理解してくれる人がいると思うんです」

 

 殿下が困惑した表情を浮かべている目の前に、入れたお茶を差し出し、テーブルに置く。

 そして私もソファに腰を下ろした。


「こうなったら、その人を探してみようと思って」

「さが……す?」

「えぇ。探す。そしたら新たな性癖(きょうち)も開拓できるかもしれませんし」

「新たな性癖(きょうち)?」

「殿下のお陰ですわ。私は知る事ができましたから」

 嬉しくなって満面の笑みを浮かべ、自分で入れたお茶を口に含む。


 美味しい。今の自分の気持ちにピッタリな爽やかな後味。


「だから殿下はキャロル様とお幸せに」

「いやいやキャロル嬢は」

 殿下が慌てて手をこちらに伸ばしてくる。


 殿下の慌てた様子に少し自分の気分も落ち着いてきた。

 うん。私の相手は殿下ではない。


 こうなったら、理想のお相手を見つけに行ってみましょう。

 

 私は立ち上がった。

「殿下。もうこちらから退出してもよろしいでしょうか?」


 静寂の塔に引きこもっている理由はもうない。

 わくわくと言うより、未知なる世界にゾクゾクしながら、私は中途半端に開いたままになっていた扉から廊下へと飛び出した。

 

 殿下の返事を待たずに。

 その場に呆然と佇む殿下を放置して。

 

 暗い階段が私を知らない世界へ誘う入り口になる。私はその階段を貴族令嬢らしからぬスピードで一気に駆け降りた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ