4回中
出浦盛清「ここ深志は、直近40年で4回落城の憂き目に遭っています。信玄公に始まり、織田信長。小笠原貞慶を経て我ら……。」
直江兼続「武田信清様であります。」
高坂昌元「御配慮痛み入ります。」
出浦盛清「この内の2回の原因を作ったのが……。」
筑摩に留まる小笠原の旧臣達。
出浦盛清「であります。その1つが武田家滅亡の一因となっています。我らとしては彼らを許すわけにはいきません。いきませんが、彼らは皆優秀。加えて朝廷との繋がりもあります。信玄公並びに織田信長も彼らの能力を認め、当地に留まる事が許され現在に至っています。彼らの能力を買っているのは……。」
芋川親正「悔しいが、我らも同じである。」
島津忠直「しかしどうであろう?酒井忠次にとって小笠原貞慶は、自らを失脚に追い込んだ張本人。斯様な者を酒井が用いるとは到底思えぬ。」
出浦盛清「確かに。酒井以上に斯様な振る舞いを許さぬのが徳川家康。皆も知っておろう。長篠の戦いで我らに付いた方々が最期どうなったかを?」
芋川親正「甲斐信濃の隅から隅まで探索し、成敗したと聞いている。」
出浦盛清「逆にこれで救われた方も居ると聞いています。」
島津忠直「斯様な貞慶を家康と酒井が起用すると?」
直江兼続「徳川家康は吾妻鏡を好んでいると聞いています。特に源頼朝に精通していると。その源頼朝の出来事に、父義朝を亡き者にした人物に対する処遇についての話があります。
頼朝が関東で立ち上がり、平家との戦いを優位に進めた事にその人物は危機感を抱きました。頼朝に謝罪。これを頼朝は許しました。そしてこう言いました。
『美濃尾張を与えよう。』
と。この言葉にその人物は発奮。平家打倒に大いに貢献。
『これで美濃と尾張は私の物。』
と喜び勇んでいた所、待っていたのは……。
『身の終わり。』」
高坂昌元「貞慶を使えるだけ使って、使い捨てにする?」
直江兼続「その可能性は十分に高いかと。そしてこの事は……。」
小笠原の旧臣にも言える事であります。
直江兼続「正直な事を申せば、我が上杉家は長年。朝廷との繋がりを持っています。青苧や麻織物を販売する関係上、必要でありましたので。内政を司る事の出来る人物も多く有しています。これについては……。」
皆様もその気になれば、筑摩を治める事が出来るでしょう?
高坂昌元「小笠原の家臣を筑摩から引き剥がす?」
直江兼続「出浦からその旨伝えるよう指示しています。行き先は春日山。知行については現金とします。従えば厚遇で。そうで無ければ、力で以て対処する所存であります。」
高坂昌元「空いた土地は……。」
直江兼続「勿論。」
武田信清様の所領となります。




