会津越後間に
中条景泰「しかし直江様。」
直江兼続「どうされました?」
中条景泰「仮に新潟の港を封じる事が出来たとしましても、新発田は蘆名と繋がっています。蘆名は豊かな会津を押さえ、阿賀野川一本で人と物を新発田領内に送り込める体制になっています。加えて上流部を握っているのは蘆名。仮に我らが攻めた時、蘆名が……。」
川の流量を調節する恐れがあります。
中条景泰「新発田は我らを意図的に入り込ませ、蘆名が上流の水を大量放出する策を用いて来た場合……。」
直江兼続「土地を知り尽くした新発田に良い様にあしらわれる事になるな。」
中条景泰「御意。」
直江兼続「彼に聞いてみるか……。」
天神山城。
藤田信吉「阿賀野川の流量は難敵であるのは確かであります。加えて阿賀野川以東は水原を押さえているだけでありますので、信濃川のように新たな水の道を拵える状況にはありません。ただ……。」
直江兼続「如何為されましたか?」
藤田信吉「阿賀野川の認識で間違っている事があります。」
直江兼続「どのような事でありますか?」
藤田信吉「それは……。」
蘆名と新発田は阿賀野川一本で結ばれているわけではありません。
直江兼続「川は……。」
藤田信吉「一本で繋がっています。繋がっていますが……。」
船で一本と言うわけではありません。
藤田信吉「越後と会津の境は急流地帯にあり、船の航行は困難であります。そのため手前で一度陸揚げをし、峠を越えなければなりません。直江様が懸念されている大量の人と物を蘆名が一気に送り込む事は不可能であります。仮に羽柴様が柴田様に勝ち、全ての船が新潟に入らなくなる。京との繋がりが断たれた瞬間。新発田を窮地に陥らせる事が出来ます。
とは言え蘆名も当然川の難所を把握しています。故に蘆名は境を越え、川船への積み替えを行う津川を押さえ。更には浦城に程近い赤谷にも進出しています。」
直江兼続「経済的に追い詰めたからと言って?」
藤田信吉「調子に乗って踏み込むのは避けた方が身のためであります。」
直江兼続「……そうか……。」
藤田信吉「小笠原貞慶は今……。」
直江兼続「氏直と行動を共にしている。貞慶の父は最期会津に居た。それも軍師として。何やら策を遺していたら厄介だな……。」
藤田信吉「両者は共に我らの敵ではありますが、同時に相対すのは避けるべきであります。」
直江兼続「……そうだな?」
藤田信吉「蘆名を内から崩す他ありません。」
直江兼続「そうなるな。会津領内を徹底的に調べるぞ。」
藤田信吉「早速。」




