香島津
中条景泰「お招きいただきありがとうございます。」
前田利家「魚津以来お会い出来ればと思っていました。御足労いただきありがとうございます。」
中条景泰「しかし……。」
前田利家「何か気になる点でも御座いますか?」
中条景泰「ここ……目立ち過ぎるように思うのでありますが。」
中条景泰と前田利家が対面している場所。それは香島津。ここは718年に能登国が発足した際、国の港として定められた場所。現在の七尾港。
前田利家「織田と上杉は和睦しています。何も問題となる事はありません。むしろ隠れて会う方が疑われる恐れがあります。こう言う時は堂々と会うに越した事はありません。ですからこの事は……。」
柴田勝家も把握しています。
中条景泰「えっ!?」
前田利家「『羽柴秀吉に通じてるのでは?』
と思われたのでありましょう。私にとって柴田も羽柴も大事な御方であります。今言える事は……。」
前田利家は柴田勝家の家臣である。
前田利家「それだけであります。それに今回の件を伝えた時、
『私(柴田勝家)も同席したい。』
と言っていました。」
中条景泰「内で揉めると大変ですね……。」
前田利家「信濃の方々も苦しまれている事でしょう。
『生きるためには……。』
と。」
中条景泰「上杉は恵まれています。ところで前田様。ここに来て驚いた事が1つありますが。」
前田利家「答える事が出来る範囲でありましたら、何なりと。」
中条景泰「七尾城を何故廃したのでありますか?あの城は亡き謙信に付いて攻めた経験があります。外から攻めても落とす事が出来ず。内から崩す事によって何とか。であったと記憶しています。」
前田利家「確かに守る事を考えた場合、七尾城が最適であった事に変わりありません。」
中条景泰「それを何故?」
前田利家「一言で言えば……。」
攻め込まれる恐れが無くなったから。
前田利家「織田は北陸に跋扈していた一向宗と和睦。越中富山に佐々が入った事により、能登は安全な国となりました。そうなりますと気になるのが七尾城の立地。七尾城は人と物が集まるここ香島津から離れており、統治に不向きでありました。故にここから近い小丸山に新たな城を築いた次第であります。」
中条景泰「うちとしては……。」
前田利家「小丸山も決して弱い城ではありません。七尾に比べ険しくはありませんが、海や河川を堀として活用しています。鉄砲での防御を考えた場合、七尾よりも強いと考えています。それに上杉の脅威が完全に去ったとも思ってはいません。その証拠に……。」
中条様を城の様子がわからない場所に案内したでしょう。




