表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/65

力攻めは

中条景泰「あの雪ではどうする事も出来ませんね……。」

藤田信吉「新発田が上野の勢力でありましたら良かったのでありますが。」

中条景泰「殿は今年動くと仰っていましたか?」

藤田信吉「直江様が戻られてからとの事であります。」

中条景泰「信濃を落ち着かせ、背後を固めてから?」

藤田信吉「そうなるとかと。」

中条景泰「藤田殿に質問があるのでありますが。」

藤田信吉「何なりと。」

中条景泰「力攻めには賛成ですか?」

藤田信吉「いづれはしなければなりません。重家を少なくとも降伏に追い込まない限り、新発田の権益を手に入れる事が出来ませんので。しかし今は避けるべきと考えます。」

中条景泰「湿地帯を警戒されている?」

藤田信吉「勿論それもあります。ただ先程も述べましたように、いづれは戦わなければなりません。なりませんが入る以上……。」


 絶対に勝てる状況でなければなりません。


藤田信吉「方法は2つあります。1つは新発田重家の手勢を削り取る事であります。そのためには……。」


 新発田を外へ誘き出さなければなりません。


藤田信吉「ただこれは難しいと考えます。中条様が魚津で織田に囲まれていた時、上杉は存亡の淵に立たされていたと聞いています。」

中条景泰「魚津に柴田様。上野から滝川様。そして信濃から森様が春日山目掛け兵を動かしていた。」

藤田信吉「その好機においても新発田は……。」


 動かなかったと聞いています。


藤田信吉「今、新発田の状況は悪化しています。上杉は織田と同盟を結び、北信濃に勢力を伸ばしています。加えて殿自らが兵を率い新発田領内に進出。重家は自分の権益を守るのに手一杯でありますので。この状況で新発田が外へ出る事はあり得ません。そこで……。」


 海津城。


直江兼続「中条から書状が届きまして。」

出浦盛清「どのような内容でありますか?」

直江兼続「新発田攻略についてであります。」

高坂昌元「兵を動かすのでありますか?」

直江兼続「いえ、次に新発田攻めをするのは私が越後に戻ってからでありますので。」

出浦盛清「催促ですか?」

直江兼続「中条も信濃の状況を知っています。どちらかと言えば……。」


 新発田攻めを躊躇している位であります。


直江兼続「藤田殿が新発田領内の湿地帯を懸念しています。」

出浦盛清「高坂様も現地に赴かれましたが?」

高坂昌元「向こうにしかわからない道がある違和感は覚えました。」

直江兼続「ただその藤田殿も

『いづれ現地に入らなければならない。』

と覚悟を示しています。此度の書状は……。」


 新発田攻めに苦心している胸の内が綴られています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ