麻績駅
小笠原貞慶は真田昌幸の動向を見定めるべく、当初の予定を変更。東山道を進み麻績駅へ到着。
西牧信道「あと少しで海津であります。」
小笠原貞慶「真田はどうしているのか?」
西牧信道「既に戦っていれば良いのでありますが。」
小笠原貞慶「先を越されてはならぬが、気になるのが……。」
尾根筋に伸びる構造物。
西牧信道「麻績城でありますね。一応上杉方でありますが、然したる人物は居ない模様。無視しても構わないかと。」
小笠原貞慶「しかしここを塞がれると退路を断たれる事になる。寡兵と言えど、粗略に扱ってはならぬ。」
西牧信道「攻めますか?」
小笠原貞慶「いや。
『戦わなければ罪に問う事は無い。』
と問い掛け、了承を得ればそれで良い。」
西牧信道「わかりました。」
使者を出す小笠原貞慶。暫くして……。
西牧信道「殿。麻績の方々。殿に従うとの事であります。」
小笠原貞慶「善し。時間が無い。急ぎ海津へ向かうぞ。」
と兵を動かそうとしたその時。
小笠原貞慶「ん!何の音だ!?斯様な時に狩りか……平和なものだな。」
西牧信道「いや違います!これは城から。」
次の瞬間。
西牧信道「殿!!」
小笠原貞慶が落馬。
小笠原貞慶「私は大丈夫だ。馬が打たれてしまった。」
西牧信道「野郎!騙しやがったな!!者共!!!一気に城を落としてくれん!!!」
当初の予定を変更。城攻めに取り掛かる小笠原勢。麻績の出城。虚空蔵山城を突破した西牧信道は勢いそのまま尾根筋を登り突進。途中、抵抗らしい抵抗が見られない中、麻績の本城手前に到着。城門に差し掛かったちょうどその時。
「放て!!」
の大音声と共に城から一斉射撃が。
西牧信道「しまった!敵の策略か!?」
と退こうとするも、後を追い掛ける小笠原勢に阻まれ立往生。
「頃は善し。門を開け!」
と合図したのは中条景泰。
中条景泰「魚津での屈辱。晴らすのは今ぞ!!」
「おう!!」
城門から飛び出した中条勢により、西牧勢は大混乱。一通り掻き乱した後、
中条景泰「戻れ!」
兵を収容し、城門を閉じた所で。
中条景泰「放て!!」
号令と共に再び一斉射撃が。その頃……。
小笠原貞慶「前線が騒がしいな……。」
「どうも苦戦している模様であります。」
小笠原貞慶「加勢をするか?」
「物見から
『退路が無い。』
との事。ここは兵を退くのが上策。」
小笠原貞慶「仕方がない。それに時間も無い。どうせ打って出るだけの兵は持っておらぬ事であろう。」
そこに……。
「東から敵兵です!」
小笠原貞慶「ん!真田も!?」
「わかりませぬ。」
小笠原貞慶「確認せよ!」
暫くして。
「申し上げます。敵は……。」
かりがねの旗。直江兼続であります。




