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19/26

問題は

中条景泰「直江様。中条に御座います。」

直江兼続「急な呼び出し。申し訳ありません。」

中条景泰「藤丸様の件、ありがとうございました。」

直江兼続「いえいえ。こちらも感謝しています。殿も私も信長の死にのぼせ上がっていました。今後の戒めとします。」

中条景泰「ところでどのような御用件で?」

直江兼続「現状、我らが北陸で織田と渡り合う力は無い。滝川が去った上野についても北条が居る。国内に目を転じても謀反を起こしている新発田が居る。彼らと戦って負けるとは考えておらぬが敵地。相当の被害を覚悟しなければならない。そして何より今の上杉は……。」


 これ以上の兵の損失を避けなければならない。


直江兼続「残念ながら勝てるいくさでなければ、外に出る事もままならないのが実状である。」

中条景泰「……はい。」

直江兼続「そんな我らにも勢力を拡げる事が可能な場所がある。それが……。」


 信濃。


直江兼続「武田が滅亡して以降、信濃には4名の織田家臣が入った。南部に毛利長秀。東部には滝川一益。西部に木曽義昌。そして北部には森長可。この中で毛利と森は信濃を離れ。滝川についても北条とのいくさに敗れ、信濃からの脱出を図っていると聞く。残る敵は木曽義昌のみ。木曽は本音では離れたいのであろうが、彼の本貫地は信濃。逃げるに逃げれないのが実状。しかも木曽は……。」


 武田滅亡に導いた張本人。


直江兼続「義昌の本貫地である木曽郡以外の国衆で、奴の事を快く考えている者は居ない。実際、殿の下には……。」


 上杉に保護を求める書状がひっきりなしに届いている。


直江兼続「殿もこの要請に最大限応えたいと考えている。しかし我らには懸念すべき材料がある。それが……。」


 柴田勝家との和議。


直江兼続「柴田は織田家の筆頭家老であり、信濃は全て織田領。調子に乗って兵を動かした瞬間、魚津で戦われた方々の労苦を破綻させる危険性も孕んでいる。この事態は是が非でも避けたい。」

中条景泰「ありがとうございます。」

直江兼続「その一方、信濃の国衆の保護。特に武田との同盟関係にあった頃からの付き合いである信濃北部から上野北部の国衆の要請にも応えたい気持ちもある。今後、森並びに滝川との折衝を図りたいと考えている。」

中条景泰「異議はありません。……。」

直江兼続「どうなさいましたか?」

中条景泰「私を呼び出した事と何か関係が……。」

直江兼続「本題はここから。滝川は問題無い。真田昌幸が良好な関係を維持しているから。問題は……。」


 森長可。

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