疱瘡
直江兼続「亀王丸は確か3歳?」
上杉景勝「うむ。疱瘡が原因であったとか。」
直江兼続「7歳までは神の内とは言いますが……。」
上杉景勝「こればかりは仕方がない。」
直江兼続「しかし何故この報せを伊達と佐竹が……。うん!?」
上杉景勝「後継者に身内を送り込もうと考えているようだ。」
浦城。
藤田信吉「蘆名の当主が!?」
中条景泰「うむ。」
藤田信吉「世継ぎなど……。」
中条景泰「居ません。そもそも亀王丸の父盛隆ですら直系では無いですからね。」
藤田信吉「……。」
中条景泰「如何為されましたか?」
藤田信吉「……いや。これは不謹慎な話ではあるのだが。」
春日山城。
上杉景勝「もし伊達の身内が蘆名を継げば、伊達と蘆名の争いは終わる。そうなればうちが蘆名との取引を止める理由が無くなる。」
直江兼続「大きな商機となりますね?」
上杉景勝「うむ。一方の佐竹の身内が蘆名を継げば、伊達と蘆名の争いはより先鋭化する。ただその一方……。」
浦城。
藤田信吉「蘆名領を通って、佐竹へ荷を送り込む事が出来るようになる。そればかりか佐竹への荷物を……。」
途中の蘆名に卸す事も可能となる。
中条景泰「どちらにしても損な話では無くなりますね?」
亀王丸の後継者を巡って蘆名家中は大混乱。それを取りまとめた人物。それは……金上盛備。金上は自身のこれまでの実績を以て家中を収め指名したのが……。
春日山城。
上杉景勝「佐竹から書状が届いた。
『次男の義広が蘆名を継ぐ事になりました。蘆名と揉め事があったと聞いています。今後は水に流していただきたい。併せてこれまで真田領を経由していた荷を蘆名経由にしていただきたい。』
との事であった。」
直江兼続「信濃経由は遠回りでありましたし、真田は独立勢力。加えて上野南部は北条領である事に加え下野は佐竹北条の係争地。あそこに比べれば蘆名経由の方が楽。しかしあそこには……。」
金上盛備が居る。
直江兼続「金上の本拠は越後国内の津川である事に加え、対上杉の急先鋒としてこれまで活動して来た人物。斯様な者の権益を通して武器弾薬を送り込むのは避けるべきと考えます。」
上杉景勝「売るのは佐竹だけだぞ。」
直江兼続「しかしその佐竹と蘆名が一緒になったとなりましたら……。」
上杉景勝「これに対抗して伊達からの注文も増える事になるな?」
直江兼続「……確かにそうでありますね。」
上杉景勝「中条に伝えよ。
『忙しくなるぞ。』
と。併せて藤田にも伝えよ。
『これで新発田が復興出来るぞ。』
と。」




