経済的自立に向け
いくさが終わって間もない占領地に警戒心を怠らない藤田信吉。しかしこれと同時に……。
藤田信吉「新発田領を豊かにしたいとも考えています。その可能性を拡げるのも(領内の地図を開き)これらの地域であります。」
藤田が指示した場所。それは……。
中条景泰「……今、泥沼にどっぷり浸かっている場所ではありませんか?」
藤田信吉「はい。しかし別の見方をすれば、深い泥地と化すだけの水が存在する。つまり……。」
稲作が可能な場所。
藤田信吉「である事も意味しています。」
中条景泰「う~~~ん。」
藤田信吉「中条殿が仰りたい事わかります。ここに稲を植えた所で、収穫出来ない年の方が多くなる事は重々承知しています。それ故越後で青苧が名産品となっている事を。」
中条景泰「換金作物。それも水や寒さに強い物を育て、そこで得た収入で以て食糧を調達した方が、結果食糧難を回避する事になると考えています。」
藤田信吉「でも越後の方々にとって米は有難い作物でありますよね?」
中条景泰「至近で手に入れば、それに越した事はありません。」
藤田信吉「仮に新発田領で青苧を始めても?」
中条景泰「越後国内では新興勢力。まだ名が通っていない事もありますので高値での取引を期待する事は出来ません。」
藤田信吉「それに取り組むのであれば、越後の方々がまだ手を出していない稲作に挑戦する価値は?」
中条景泰「あります。これは否定しません。ただ稲作は危険度が高いと言わざるを得ません。取分け……。」
この大水を何とかしない事にはどうする事も出来ません。
藤田信吉「はい。お金が必要であります。しかし新発田領内は長年に渡るいくさにより疲弊。蓄えはありません。加えてこの地で稲作を始める事にお金を貸す方も存在しないのもまた事実。お金を作る必要があります。そこで殿に……。」
新たな港を設置する許可をいただきました。
中条景泰「新たな港?新発田領には海はありますが、港となる適地は見当たりません。故に重家は新潟奪取に。」
藤田信吉「はい。その新潟であります。」
中条景泰「しかし新潟は……。」
藤田信吉「はい。先のいくさを経て、上杉の直轄港に戻りました。」
中条景泰「その利を新発田の方々は?」
藤田信吉「享受する事は出来ません。新発田重家が苦境に立たされた原因となったのも新潟を失ったからでありました。新発田の民にとって新潟の港は無くてはならない存在であります。しかし今後、新潟を使う事が出来ません。故に……。」
新潟の対岸に新たな港を設ける運びとなりました。




