こちらも
柴田勝家「しまった!となると魚津の降伏も!!」
魚津城。
山本寺景長「城外の慌てぶりを見ると……。」
中条景泰「上条様が動かれましたね?」
山本寺景長「皆の者!上条の決断を無駄にするな!!!」
一同「おぉ!!」
山本寺景長「ありったけの火矢をぶち込め!!!!」
魚津城本丸外の大量の火矢が。これを見た……。
佐々成政「やはり偽りであったか!門を開いた!!今が好機!本丸を!!」
前田利家「お待ち下され!!!」
佐々成政「何故止める!?」
前田利家「敵は恐らく死を覚悟しています。斯様な敵に近付いては悪戯に被害を拡げるだけ。それに城を様子をご覧いただきたい。あの火矢の打ち方を見れば、奴らが城を守る事を放棄したのは明白。魚津の城は自ずと手に入ります。今は被害を最小限に留める動きを見せましょう。」
佐々成政「ならばこの人質共を!!!」
柴田勝家「待て!こ奴らにはまだ利用価値がある。」
佐々成政「しかしそれでは……。」
柴田勝家「待て。奴らの目的が何であるか?を見極める必要がある。この出撃が我らを討ち果たすのが目的なのか?それとも……。」
中条景泰「一刻の猶予も無い!戦わぬ者に手を出すな!!皆一所から離れるな!!!目的はただ1つ!!!!」
前田利家「敵は東に向きを変えましたな。」
柴田勝家「(景勝が陣取っていた)天神山を目指すのであろう。松倉も同様と見て間違いない。」
佐々成政「なら……。」
前田利家「待たれよ。敵は火矢を放ってはいるが、銃声が聞こえぬ。恐らく要所要所に兵を伏せ、種子島を放って来るであろう。それよりも今やるべき事は……。」
無人となった魚津城の接収。
前田利家「彼の地を押さえさえすれば、越後からの流れを止める事が出来る。さすれば奴らが天神山に籠ったとしても体制を維持する事は出来ぬ。自ずと越後へ去るであろう。」
佐々成政「それでは我らは後世まで物笑いの……。」
柴田勝家「越中を平定した。この事実が大事。戦巧第一は佐々にある。そして越中の全てを其方に任せる。これを正式に認めさせるために……。」
私は京に上る。
柴田勝家「人質は奴らが天神山から撤退させる時の交渉材料に使えば良い。それに……。」
越後はいつでも攻める事が出来る。
柴田勝家「そこでも思う存分働いていただく所存である。そのためにも今……。」
兵を損耗してはならぬ。
佐々成政「……わかりました。」
柴田勝家「前田。」
前田利家「わかっています。盛政にも同じ事を伝えます。」
柴田勝家は魚津松倉両城に対し天神山への撤退を認める一方、戦闘に及んだ場合は全てを反故にする事を通告。これを山本寺上条両名が承諾。上杉勢は無事天神山への脱出に成功したのでありました。