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【注目度1位御礼!】『セレンティア・サ・ガ』~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~  作者: 波 七海
第一章 ゲーム世界のモブに転生して

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第51話 ロードス子爵とケルミナス伯爵

いつもお読み頂きありがとうございます。

これにて第一章は終了です。


本日は12時の1回更新です。

 ――領都ロドスへ帰還した子爵家の面々は。


「レクス殿の実力はそれほどのものなのか」


 ディオンは長い時間領都から離れていたせいで体調を崩してしまい、ベッドの中でドミニクから戦いの様子などを聞いていた。寝室には子爵夫人も一緒におり、ベッド脇の椅子に座って静かに話に耳を傾けている。


「はい。お嬢様は軽くあしらわれましたし、私でも負けるかと。何よりあのジャンヌを倒したのですから間違いなく本物でしょう」


 実際にセリアとの手合せやジャンヌとの戦いを見たドミニクの評価は高い。

 できれば白嶺騎士団リジッド・オーダーに入団して欲しいほどだ。


「しかし神の想い出(ロギア・メメント)を献上されるとは思いもしなかったな」


「ジャンヌが持っていたこと自体驚きですが、まさか聖遺物が本当に存在するとは。長生きしてみるものです」


 聖ガルディア市国――西方教会や古代神の使徒たる神人が諸国を探して回っているため、聖遺物が存在すること自体は知られている。

 しかし見ると聞くとでは大違いで信仰していても実際に聖遺物が存在しているとは思ってもみなかったためディオンからしてみればどうしても困惑が先に立つ。


「どうしたものかな。我々には過ぎたる物だ。何より扱いに困る。ここは西方教会に管理を頼むことも考えた方がいいのかも知れんな」


「私は反対です。西方教会に聖遺物を渡したとなれば国内の古代竜派が黙っていないのではないかしら?」


 アネット子爵夫人の考えは異なるようでディオンの意見に異を唱えた。

 西方教会とアングレス教会の仲の悪さは有名であり、下手をすればグラエキア王国が聖ガルディア市国へ攻め込むことになりかねない。

 何しろアングレス教会が神聖視している聖イドラを処刑したのが西方教会なのだ。争いの火種となるのは古代神を信仰する者としても避けたいところであった。


「ふう……取扱いには注意が必要だな。しかし裁判となれば提示を迫られる可能性もあるな」


「確かにそうですな。王立裁判所の案件となれば問題はないでしょうが、竜神裁判ともなればアングレス教会が絡んできましょう。教会としても古代神様の聖遺物など見過ごすことはできないかと……」


 竜神裁判とはアングレス教会が主導するもので、裁判官たる大司教が古代竜をその身に降ろし審判を下すと言うものだ。厄介なのは証拠を示しても、神のお告げの一言で却下される可能性が高いことである。

 アングレス教会の威信と権威が揺らいでいるとは言え、まだまだ古代竜信仰は根深く、簡単に信じてしまう者は多いのが現実なのだ。


「取り敢えず王立裁判所へ訴え出る。これは確定事項だ」


「ええ、スターナ村が襲撃を受けた件、関所でセリアに対して行った所業、ジャンヌによる拉致、誘拐。とても許せるものではありません。ケルミナス伯爵の行為であれば尚更です」


 こうして王立裁判所へ提訴するために、書類を準備し手続きを開始するのであった。




 ◆ ◆ ◆




 一方のケルミナス伯爵はと言うと、こちらも裁判の準備を進めていた。


 元からロードス子爵領から魔物や盗賊が流れてくることで被害が出ていると訴え出るつもりだったので既に準備は万全だ。

 全てはロードス子爵家の領地経営に問題があり、貴族としての怠慢を糾弾するのが目的であったが、今回は領境の関所で行われた騎士への暴挙と領内への不法侵入の件も議題に上げるつもりである。


「竜神裁判で片を付けるぞ。教会の漆黒竜派にも……いや全派閥に念のため工作も行っておけ」


「承知致しました」


 もう老年に差し掛かろうかと言う白髪の男が一礼して部屋から退出していった。

 ケルミナス伯爵は家令の男にアングレス教会と審問官への多数派工作を任せていた。


 万が一にも負ける訳にはいかないのだ。


 唯一の心配事は竜神裁判には王家と6公爵家から代表者が出席すると言う決まりがあることくらいだが、もし口を出されると厄介なことになる。


 訴えが認められればロードス子爵家の降爵こうしゃく、もしくは奪爵だっしゃくすら考えられる。そうなれば長年に渡る係争地けいそうち問題にも片が付く可能性が出てくるし、古代神などと言うお伽噺のような存在を信仰する者を潰すと言う前例にもなる。今更、古代神などにしゃしゃり出て来られても困るのだ。


「後はレクス・ガルヴィッシュだ。何としても奴の身柄を抑えねば……」


 ケルミナス伯爵は元探求者(ハンター)からの成り上がり者であり、その地盤は盤石ではない。より強大な力を得て王国内での地位を確立するか、もしくは王国自体を滅ぼし新国家による新秩序を世界にもたらしたいとも考えている。


 地方のいち伯爵如きが何を抜かすかと思われるかも知れないが、彼は本気でそう言う信念の下で行動していた。

 そのためには可能性の塊であるレクスを手にする必要がある。

 探求者時代に偶然入手した貴重な神の想い出(ロギア・メメント)を失ったのは痛いが、ケルミナス伯爵に諦めると言う選択肢は存在しない。


「あの腐れ聖女め……あっさりとやられおってからに。奴が成功さえしていれば裁判などする必要はなかったのだ」


 探求者の伝手つてで高位の神聖魔法の使い手であった聖女ジャンヌを雇えたのは大きかったが、聖遺物を与えて大幅に神聖力がアップしたはずなのにもかかわらずレクスとセリア相手に敗れ去った。話では聖女の職業熟練クラスマスターであったと聞いていたので負けるなどつゆほども考えていなかったのだ。皮肉にもレクスがそれだけの力を持つ有望株であると証明される結果になった訳だが。


「奴らに証拠はない。聖遺物を出しても私とジャンヌとの繋がりは出ては来ない。大丈夫だ。何も心配することはない」


 決戦の地は聖地リベラ。

 の聖イドラが処刑された場所。

 現在はアングレス教会の本拠地として発展し有数の大宗教都市になっている。


 全ては聖地リベラの竜神裁判で決着する。

ありがとうございました。

これにて第一章は終了です。

明日から第二章――物語本編(最序盤)に突入します。


面白かった!続きが読みたい!今後に期待する!と思われた方は是非、

評価★★★★★、リアクション、ブックマークをして頂ければ嬉しいし有り難いので是非よろしくお願い致します。

また、感想やレビューなどもお待ちしております。

モチベーションのアップにも繋がりますので何卒よろしくお願い致します。


これからも本作をよろしくお願い致します。

波 七海


明日も12時の1回更新です。

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― 新着の感想 ―
Xリプから来ました! 本編が二章からと書いてあったので、必死こいて一章丸々ブワァーっと読んできました笑 これでいつでも本編に入れます。 あと、1話あたりの文字数とかがすごく読みやすくて参考になりまし…
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