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【注目度1位御礼!】『セレンティア・サ・ガ』~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~  作者: 波 七海
第一章 ゲーム世界のモブに転生して

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第42話 深夜の襲撃

第1章クライマックスへ……


いつもお読み頂きありがとうございます。

本日は12時の1回更新です。

 村が赤く染まり黒い影が躍る様に動き回っていた。


 ここはスターナ村。

 村人たちが寝静まった深夜、侵入した何者かが火を放って暴動が起きたのであった。


 真っ先に異変に気付いたのはロードス子爵家の白嶺騎士団リジッド・オーダー

 セリアが残して行った5名の騎士たちである。


 最初は失火かと思った彼らであったが村の中を駆け回る怪しい影を発見。

 そのまま戦闘へと移行した。

 そうしている内にあちこちから悲鳴が聞こえてくる。

 村人たちが襲われているのだ。


 寝ると言いつつ起きていたレクスもすぐに気付いた。

 家族を全員叩き起こして剣を掴んで家から飛び出ると、瞬間的に360°全方位に向けて魔力波を飛ばす。


「(動き回っているのが100と言ったところか……盗賊か? しかし……多いッ)」


 レクスは魔力検知で暴徒たちがいる方向を割り出すとすぐに駆け出した。

 家には戦えないテッドとリリアナ、リリスがいるが、すぐに危険に陥ることないだろう。


 何しろリリアナも十分強いから。


 幸か不幸か家々に放火されたせいで周囲は明るい。

 ただ家と家の間隔が空いているので、暗闇の中に潜まれると厄介だ。

 敵とおぼしき影がいたのは村の南側。

 レクスは顔を隠した明らかに怪しい人物に問答無用に斬りかかった。

 為す術もなく斬り伏せられた仲間を見て、影たちはレクスに向かって一斉に襲い掛かってきた。


「貴様ら何者だッ! 名乗れッ! 俺の名はレクス・ガルヴィッシュ! 死にたい奴はかかって来いッ!」


 名乗ったのには理由がある。

 ケルミナス伯爵からの度重なる怪しい勧誘、セリアの【直感】、テッドの怪我。

 こう考えざるを得ない。

 標的は自分なのでは?と。


 明らかに敵意が集中するのをレクスは肌で感じた。

 他の村人たちを襲っているのはあくまでカモフラージュだろう。

 レクスの中で静かな怒りに火が灯る。


 向かってくる影に囲まれないよう注意しながら剣を交えていく。

 恐らくこの影は文字通りケルミナス伯爵家の影。

 流石に強いが何とかなりそうだ。

 レクスに殺到する影から大きく距離を取ると職業変更クラスチェンジで暗黒導士になると新魔法を早速試す。


「5thマジック【散弾乱舞ラム・ショット】!」


 銃弾のような魔力の塊を散弾のように撒き散らすオリジナル魔法だ。

 一気に解き放たれた銃弾を喰らって複数がバタバタと倒れ伏す。

 それに面食らった影の動きが一瞬止まり動揺が溢れ出した。

 面制圧には向いていることを確信するレクス。


 背後から気配がするがロードス子爵家の騎士たちであった。

 彼らも誇りある騎士。

 多勢に無勢にもかかわらず影に向かって飛び掛かっていく。


 レクスは少し離れた場所から村へ侵入してくる影たちに向けて魔法を放っていく


「6thマジック【重弾丸マグナム】」

 

 暗黒導士レベル6で使用できる現時点の最大の火力を誇る。

 学園の小等部では第3位階レベル相当の魔法しか習えないためオリジナル魔法を使った方が良いと判断したのだ。


 その強烈な銃撃にある者は頭部を、またある者は下半身を失ってただの肉片と化していく。

 

「(やっぱり騎士と互角以上にやり合ってる。こいつらは間違いなく正規の騎士だ!)」


 いくら敵の数が多かろうとレクスの面制圧魔法によって多くの者が地獄へと送られてく。

 このまま耐えきれば勝利は間違いない。

 そう確信したレクスだが油断はしない。

 勝って兜の緒を締めよ。


「5thマジック【散弾乱舞ラム・ショット】」


 敵もようやくこの魔法のヤバさに気が付いたようで突撃を止めて散開し出す。

 気付いたのには褒めてやるが対応が遅すぎる。

 最早、敵戦力は30を切っている。

 それにレクスは背後から援軍がやってくるのが見えていた。


 セリアたち討伐隊が帰ってきたのだ。

 すぐに異変を察知したか、リリアナたちから聞いたかして駆けつけたのだろう。


「レクス殿ッ! ご無事か!?」


 ドミニクが敵を斬りつけながら叫ぶのでレクスもそれに返答する。

 

「大丈夫ですッ! 敵は多分正規兵ですよ!」

「何と!?」

「何ですって! 【カースソード】!」


 それを聞いたセリアが先陣を切って飛び出した。

 能力ファクタスを最初から使う辺りそこに油断はない。


 ケルミナス伯爵家の件は前回のことがあってロードス子爵家にも伝えてある。

 それを知っているのだろう。

 彼女もレクスと同じように考えたと言うことだ。


 目の前に現れた援軍に数を大きく減らした敵が浮足立つ。

 セリアが最後の一押しとばかりに大音声で命令した。


「押しまくりなさいッ!」


 将が先頭に立って突撃するなど褒められた行為ではないが、士気が大きく上がることも事実だ。

 騎士団から喊声かんせいが上がる。

 と言ってもゲームでは強いキャラクターは突っ込んで行くことがよくあるんだけどね。


 セリアが『暗黒剣』を発動した状態で敵と斬り結ぶが実力はセリアが上。

 何人かが斬り伏せられ、致命傷は負わなかったもののその身に呪いを受けた者も多数出たようだ。

 『暗黒剣』、【カースソード】による追加効果である。


 彼女の実力は疑う余地はないが、レクスは万が一を考えて傍へ近寄った。

 後は騎士団に任せておけば良い。


「セリア様、ご無事なようで何よりです」

「遅くなってごめんなさい。まさか村が襲われているなんてね……」

「ミノタウロスの方はどうなりましたか?」

「討伐したわ。でも犠牲も大きかった。聞いていたより強い気がしたわね」


「8thマジック【神聖大衝撃ホーリー・スマイト】」


 その瞬間――怒号が飛び交う戦場の中で何故かレクスははっきりと太古の言語(ラング・オリジン)を耳にした。


 凄まじい衝撃が固まっていた騎士団を一気に吹き飛ばす。


「何ッ!? あれは――神聖魔法かッ!」


 前線にいた騎士たちは全て聖なる衝撃波によって一掃されてしまっていた。

 レクスは目も前にいる女を睨みつけ剣を構えつつ魔力を練る。

 【重弾丸マグナム】でブチ抜く!

 レクスはそう考えてセリアを下がらせようとしたが、彼女の取った選択は突撃であった。恐らく暗黒導士であるレクスの魔法に期待して間を作ろうとしたのだろう。


「【神聖化サクラーレ】」


 敵は澄み渡った高い声で能力ファクタスを使用する。

 能力に『神聖化』を持つ職業クラスは4つ。

 教皇、聖人、聖女、神官騎士だけであり、その攻撃を神聖属性に変えると言うものだ。当然、暗黒系の職業クラス相手には特効となる。


「【ブラッドソード】」


 暗黒騎士であるセリアも『暗黒剣』の力を行使して女の対して一気に斬りつける。

 しかしするりと躱されると女の右手が彼女の腹にめり込んだ。

 神聖攻撃をまともに受けて崩れ落ちるセリア。


「6thマジック【重弾丸マグナム】」

「10thマジック【絶対神域パルフェ・フィル】」


「何ッ!?」


 レクスが放った銃弾はその神聖なる障壁に阻まれて届かない。

 ただヒビを入れただけ。

 レクスの目が驚愕で見開かれる。

 この世界に来て初めて受ける衝撃。


「貴様がレクス・ガルヴィッシュね。この子の命が惜しくば投降しなさい」


 白いローブ姿の女が警告を発する。

 無感情な声色で。


「そう言われてハイそうですかとでも言うと思うのか?」


「あたしは別にそれでも構わない。この女はどうでもいいんだ」


 声に全く揺らぎがない。

 つまりコイツはると言ったら本気でる奴だ。

 駆け引きするのは危険すぎる。

 レクスに選択肢は存在しない。


「お嬢様ッ! 貴様、すぐにその手を離せッ!」

「ちょっと黙れ」


 女は左手をドミニクに向けると力を解放した。


「6thマジック【神聖豪撃ホーリー・フィアース】」


 幾重にも重なった神聖撃がドミニクの体を貫き衝撃で吹き飛ばされるとピクリとも動かなくなった。目の前で立て続けに起こったことに着いて来れず騎士たちは動きたくても動けない。


「分かった。投降する。戦闘は終いだ」


「賢い判断だ」


 レクスは剣を鞘に差して女へとゆっくりと近づく。

 至近距離で発動した『騎士剣技』【閃烈剣せんれつけん】で決める。

 勝負は一瞬。


「5thマジック【神聖縛鎖ブレスド・チェイン】」


 後一歩のところまで進んだレクスの体に光り輝く鎖が巻き付いた。

 不覚。まさに不覚。


 レクスは一切の行動を封じられ、セリアと共に連行されることとなる。

いつもお読み頂きありがとうございます。


本日は12時の1回更新です。

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