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【注目度1位御礼!】『セレンティア・サ・ガ』~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~  作者: 波 七海
第一章 ゲーム世界のモブに転生して

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第30話 第三騎士団の新参者

いつもお読み頂きありがとうございます。


昨日は1回更新と書きましたが変更します。

本日は12時、18時の2回更新です。

 退屈な学園の授業から解放され放課後になるとレクスは日課である第三騎士団へと赴く。ここのところ順調に毎日を送れているので、心身共に充実し満足感が得られている。


 顔見知りになった見張りの騎士たちと軽い雑談を交わし練兵場へと向かう。

 その足取りは軽い。

 授業は全く問題ないし新魔法も開発できている上、剣術の稽古もレイリアが認めるほどに上達していると言って良い。


 気になるとしたら何者かに監視されているような不気味な感覚がある程度か。

 恐らく精霊術士の精霊獣か、魔人の使い魔だと思うのだが確証はない。


「レイリア師匠、今日もよろしくお願いします」


 毎日のように頭を下げることにも慣れたのか、レイリアも笑って軽く流す程度。

 いつもならすぐに稽古が始まるのだが、今日は違った。


「ああ、毎日頑張ってるな。もうかなり強くなったと思う」

「本当ですか! ありがとうございます。これも師匠のお陰ですね!」

「私を持ち上げても何も出んぞ? 腕が上がっているのは全て自分自身の研鑚の賜物だ。誇れ」


 レイリアの口調はいつも通りだが、目を細めてどこか嬉しそうにする表情を見れば分かる。それが彼女の本音だと言うこと。


「ところで今日から第三騎士団に新たな団員が入ってな。名をリディ。リディ・パーシヴァルと言う。よろしくしてやってくれ」

「パーシヴァルきょうですか。分かりました」

「卿と言うよりな……確かどこかに……いた。おいリディ! こっちへ来い!」


 少し甲高い声で返事をしてこちらへ走ってくる者がいた。

 青みがかった銀髪をポニーテールにした小柄な少女のようで年の頃はレクスと同じくらいだろうか。彼女はレクスの前までくるとこちらを値踏みするかのように、その煌めく蒼色のつぶらな瞳で見つめてくる。

 まだ幼さが残る童顔の少女であるが卿であると言うことは貴族に連なる者か。


「レイリア様、どうなさいましたか!」


 重そうな鎧を身に着けて走ってきたのにもかかわらず全く息が切れた様子はない。この歳で騎士団に入る辺り、ただ者ではないのだろう。


「リディ、紹介しよう。こちらは私の弟子でレクスと言う。スターナ村出身で王立学園魔導科に通っているが剣の才能もあってな」

「レクス様ですね。リディ・パーシヴァルと言います。よろしくね!」


 何とも自由闊達と言った印象を感じさせるエネルギーを持て余したような溌剌はつらつとした少女だ。

 

「こちらこそよろしくお願いします。レクス・ガルヴィッシュと申します」

「リディは聖騎士でこの歳で――12歳でその腕と才能を見込まれ騎士爵位を賜った才媛だ。元は平民だがパーシヴァル姓を下賜された」


 聖騎士で騎士爵位に加え姓まで与えられるとは、将来有望、前途は洋洋だろう。


「畏まらないでいいよ! あたしのことはリディって呼んで!」

「俺のこともレクスと呼んでください」


 子供同士仲良くやれそうなのを見て安心したのかレイリアも上機嫌だ。

 早速、面白い提案をしてくる。


「手合せでもしてみたらどうだ? 面白いと思うぞ?」

「異論有りません」

「いいわね! 勝負よ! 勝負! いざ!」


 かなり威勢が良いが勝てると思っているんだろう。

 確かに腕は良さそうだし雰囲気も持っている。


 2人は刃を潰した鉄剣を持って対峙した。

 リディは嬉しそうに満面の笑みを浮かべているがその構えに隙はない。

 さて、どう打ち込むかとレクスが考えていると彼女が言った。

 楽しげな声色で。


「じゃあ、こっちから行くね?」


 そう言うが速いか一気に間合いを詰めると鋭い突きを放ってくる。

 まずは小手調べかとその一撃を軽く払って方向を変え、カウンターを見舞う。

 彼女は至近距離で放たれたそれを簡単に受け止めると大上段から剣を振り下ろした。レクスは直ぐに反応して受け太刀するが一撃が重い。


「魔導士にしてはやるみたいだけど、こんなもの?」


 勝負の途中で軽口を叩く余裕を見せるが、挨拶程度でそう思われるのもしゃくな話だ。

 重心を落として剣を受け流しすと連撃に移る。

 久遠流の技、『連撃連鎖』だ。

 

 流石に笑顔だった表情が真剣みを帯びるが、それも一瞬。

 リディは連撃に合わせて連撃を返してくる。

 タイミングもばっちりでレクスの手はことごとく防がれた。


 だが――


「やるね! 流石は聖騎士様だ!」

「そ、そう? やっぱりねそうだよね! ふふーん!」


 ドヤ顔を作るとどこか得意げになり今まで漂わせていた強者の風格すら吹き飛んでいた。その打ち込みにも隙ができ、甘い攻撃に変わる。


 レクスは直感的に理解した。

 こいつはちょろい。


「あたしの技を受けて泣かないことね!」


 フェイントを入れながら重心をズラしにくる。

 体の上下左右の点を不規則に打ち込みながらも不意を突いて急激に速度を上げた攻撃を混ぜてくる。リディの実力は本物だが単純な殴り合いなら勝てないかも知れないが負けることもないだろう。

 それほど伯仲している。

 聖剣技や技能スキルを使われなければどうと言うことはない。

 彼女をそれを悟ったようでお互いに距離を取ると戦いを終えた。


「すごい! マジ半端ないっても~! もう~!! リディ半端ないって!」

「えへへ……そ、そうかしら……? そうようね。ま、まぁレクスも良かったわよ? ふへへ……」


 テレテレと言った感じで顔を赤らめつつ満更でもない様子だ。

 ちょろいのは確定だな。


「聖剣技とか技能スキルを使われたら勝てないよ。流石はその若さで騎士団に入っただけのことはある」

「やだもー! ホント、口がうまいのね!」


 何だかんだでリディは嬉しそうだし声も上ずっている。

 まぁ12歳だしそんなもんか。

 それとも単純に性格なのか。


「お前ら、いい試合だったぞ。リディは後半少し甘かったがな。レクスはもう騎士団のレベルを超えてるな。短期間でよくここまで成長したと思う」


 レイリアが褒めるとは珍しいこともあるものだ。

 ここは素直に正当な評価なのだと受け止めておこう。

 それにしてもリディだが年齢は1つ上だがレクスと同等の力を持つ聖騎士。

 この試合内容なら全力だとかなりの実力を持っていると推測できる。

 騎士団でもトップレベルなのは間違いない。 


「はッ! このリディ・パーシヴァル、一層の精進を誓います!」

「ありがとうございます。俺も頑張ります」


 リディも甘さを指摘されて真面目な表情に変わった。


「(将来的には王国聖騎士団かな? それともアングレス教会の神殿騎士団って線もあるか。どちらにせよ敵対しないことだな……)」


 試合の時とは違い子供らしい笑顔でレイリアと話している光景を見てレクスは漠然とそう思った。

ありがとうございました!

また読みにいらしてください!


明日も12時、18時の2回更新です。

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