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【注目度1位御礼!】『セレンティア・サ・ガ』~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~  作者: 波 七海
第一章 ゲーム世界のモブに転生して

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第21話 魔力の研究と魔法習得の仕組み

いつもお読み頂きありがとうございます。

本日は12時、18時の2回更新です。

 レクスはオリジナル魔法の開発と共に魔力の研究も並行して行っていた。


「発達した科学は魔法と区別がつかないって話だしな。魔法を詳しく調べれば科学的な側面も見えてくるか知れないし、魔力にも何らかの法則や規則性があると思うんだよな。多分だけど」


 魔力を分析し理解を深めれば魔法だけに頼らないで敵と戦うこともできるだろう。要はスターナ村でミレアたちに教えていた魔力操作から更に踏み込んだ領域に至る研究をする。


 レクスが考えていることが可能になれば戦略は大きく広がる。


 詠唱どころか言葉を発することさえせずに――つまり()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 既に魔法と言う現象ではなく魔力自体を放出、具現化させることができるようにはなった。

 となると一体魔力とは何なのかと言う疑問が浮かぶ。

 徹底解説ガイドにはマギアや魔力に関する項目まで存在する。

 その記述から考えるとマギアは粒子のような存在。

 ただ、魔力の詳細については記載されていなかった。


 どう言う方向から迫るべきかとベッドに倒れ込むとレクスは思考の波に身を任せて集中を加速させる。


 マギアは粒子。では魔力は?

 そもそも粒子を練成するって何だ?

 いや実際できてるんだけどさ。

 この世界がそう言う風に出来ているってだけ――単に設定のみがあるだけの可能性もある。


 いきなり大きな音と共に部屋のドアが勢いよく開かれた。

 びっくりして反射的に上体を起こすレクス。


「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん! ミレア見参~!」


 何故かドヤ顔でドアを開けたままのポーズで固まっている。

 流石はミレア。行動が読めない。

 放置しておいてもいいが後が面倒臭そうなのでレクスは仕方なく声を掛けた。


「別に呼んでないんだが? 何かあったのか? ミレア」

「レクスのことだからどうせ暇してると思って」

「毎日忙しいわ。少なくともお前よりはな」

「無理して嘘吐かなくてもいいんだよ?」


 暇ではないのだがミレアのニュアンス的に友達いないから来てやった!みたいなことを言いたいのだろう。レクスは何を言っても言い訳にされると考えて反論するのを諦めた。


「まぁちょうど良かった。ミレアに聞きたいことがあるんだ」

「なぬ!? どうしたの~? 頭がどうかしちゃったの~?」


 私に聞くことがあるなんてお前正気か?と言う意味で言っているのだろうがそれは自分で言うことじゃないと思うぞ。

 それに若干、イラッと来たのは気のせいだろうか。

 彼女にそこまで過度な期待などしていないレクスにとってはヒントが有ったら儲けもんと言った感じなのだが。


「前にも教えたと思うんだけどマギアは粒子だって話は覚えてるか?」

「どこか遠い昔話のような気がする……」


 遠い目をしながら何か言っているが、平たく言えば忘れたってことだ。

 彼女には理詰めのことに関しては一切信用していないレクスとしては全く問題などない。


 スルーして聞きたいことだけを話す。


「それでな。マギアを練成して魔力を作るだろ? 魔力って何だと思う?」

「魔力……魔力……?」


 何で疑問形なんだよと最早突っ込む気力もないレクス。


「魔力…ハッ……魔力と言えば衝撃波っぽくない? 何か波動がバーンって飛んで行く感じがするよ~!」

「(衝撃波なー。波動っぽいか……)」


 その時レクスの脳裏に電球が点灯したかのような閃きが走った。

 ベッドから飛び起きると棚にあるグラスを手に取る。


「そうか……魔力の波動とかって言うよな。波動か……魔力波。波……」


 レクスは何かが引っ掛かるのを感じていた。

 体内に元々持っているマギアや大気中に存在するマギアを取り込んで練成すると出来上がるのが魔力だ。

 となるとマギアが粒子なら魔力は粒子と波?

 その思考が更に加速していく。


「波と言えば周波数? いや位相か? 固有振動数とか共振とも関連性がありそうだな」


 オシロスコープのような波形を計測できる機器があれば。

 そう思うが文明の利器を使えない以上、手にしたグラスで試してみるとしよう。

 レクスはハタと考え込む。


「位相を調べる機器もあったと思うけど……まぁ直接魔力を当ててみるしかないか」


 物には固有振動数がある。

 材質や形状で差異はあるが、恐らく魔力の波動を当てることで共振現象や場合によっては破壊することも起こり得るだろう。

 レクスはそう考えてデスクに置いたグラスに魔力を放出する。

 と言っても、魔力弾を当てる訳ではなく目に見えない波長を飛ばす感覚に近い。


「不可視の波動を飛ばす攻撃をしてくる敵もいたからな。あれも魔力のようなもんだろ」


 出力をじょじょに上げながら検証していく。

 するとグラスがガタガタと音を立てて振動を始めた。

 更に上げるとグラスは一瞬にして砕け散る。


「おし。これで推測は当たったな」


 恐らくマギアは粒子、魔力は粒子と波のような性質を持つ。

 要は魔力は光と同じようなものなのだ。

 ゲームの開発陣はそのような設定にしたのだろう。

 これを応用すれば、対象に魔力波を当てることでその魔力を解析できる。

 もっと言えば魔力の出力を上げることも、逆に無効化することも可能になるはずである。


「――クス! ――レクスったら!」


 何か声が聞こえる。

 と思ったらその主はミレアだった。

 レクスに放置されて涙目になっている。

 案外メンタルが弱いのかも知れない。


「ん? どうしたミレア」

「もう! やっと気付いてくれた。説明しよ~! 私がここに来た意味を~!」


 レクスはやっぱり俺が呼んだ訳じゃねーじゃんと思いつつ渋々耳を傾けることにした。後で拗ねられても困るのは自分なのだから。


「前に授業でやった職業点クラスポイントについてなんだけど~よく分かんなくて……」

「はぁ……そうだな。ついでだからステータスを見て考えてみるか。ステータスを書き出してみて」


 ミレアはレクスの指示に従って黙々と紙に記載していく。

 ステータスが見れるのは当人と鑑定士くらいなのでレクスは知る由もないことだ。


名前ネームド:ミレア

位階レベル:3

称号インペラトル:平民

指揮コマンド:☆

所属アフィリエ:スターナ村

職業クラス光魔導士こうまどうし

熟練デグリー:3

能力ファクタス:光魔法

技能スキル:【幸運Ⅱ】


 書き終わった内容を見ながらレクスは説明を始めた。


「まずは位階レベル。これはミレアの強さの指標だな。これが高いほどステータスが上がる」


「ステータスってよく分からないんだけど何が上がるの?」


「体力とか力とか魔力とか知性とか精神とか……まぁ色々ある。魔法の威力が上がったり攻撃を受けても丈夫な体になったりするぞ。後は位階レベルが上がった時の職業クラスが何かによって伸びが大幅に変わってくるから注意だな(経験値が見れないのがネックだけど)」


「ふ~ん……なるほど~。位階レベル熟練度デグリーってどうやったら上がるの?」


「魔物を倒したり対人戦の稽古をしたりだな。後、毎日魔法を使うのも効率が良い」


「へ? そうなの? でも魔法なんて毎日使わないよ~」


「むしろミレアは回復魔法がメインなんだから楽な方だろ。俺は毎日力尽きるまで魔法を撃ってるぞ? こっそりな」


 これはゲーム世界の人間だと気づきにくいと思われる。

 熟練度デグリーが上がる実感などないに等しいから。


「これからは魔法を使うことにするよ~!」


 ミレアはふんす!と鼻息荒く頷いた。

 後は職業点クラスポイントについて説明するだけだ。


「そうした方が良いな。頑張れよ。それで職業点クラスポイントについてだったな……これも熟練度デグリーなんかと同じで魔法の使用や戦いで上がる。そしてこれのポイントが貯まったら能力ファクタスの一覧から習得したい項目を選べば、それを習得することができる。例えばミレアの能力ファクタス、『光魔法』だけど第3位階魔法、つまり3rdマジック【全霊治癒オールヒール】を習得したい場合、職業点クラスポイントがえーっとどれだけだ……200か。200ポイントを消費すれば【全霊治癒オールヒール】が使えるようになるって訳だな。ただしこれには条件もあって、熟練度デグリー以上の位階レベルの魔法を覚えても使えない」


「はぇ?」


 ミレアの口から呆けたような声が漏れる。

 理解しきれていないようなのでレクスは分かり易くもう1度言い直した。


「つーまーりー、熟練度デグリーが3のミレアは第3位階レベル魔法までしか使えないってこと!」

「ああ! それは分かるんだよ~」


「んん? じゃあ何が分からないんだ?」

「魔法って位階レベルごとにたくさんあるはずでしょ? でも職業点クラスポイントが貯まってもレクスが言ってた項目が見れないんだよ~!」


「はぇ?」


 今度はレクスが呆けた声を出す番であった。

 項目が見えない?

 そんなことがあるのか?

 俺には全項目が見えているし、何の項目にどれだけ職業点クラスポイントが必要か分かるのだが?

 そうレクスは困惑しつつ首を傾げながら考える。


「ミレアが今持ってる職業点クラスポイントはいくつだ?」

「118ポイント」


「光魔法の中で見える項目は?」

「えっと、【治癒ヒール】と【聖亜治癒ミドルヒール】だけだよ~。これは覚えてるしね~」


「【全霊治癒オールヒール】とかの項目はないのか?」


 訳が分からないと言った表情で首肯して見せるミレア。

 レクスはようやく理解した。


「(これは……俺とミレア、つまり転生者と現地人では見え方が違う? 確かスターナ村から王都へ戻る春休みの時に傭兵のレスタさんが言っていたことと同じか……『条件を満たした場合にようやく何に職業変更クラスチェンジが可能になったか判明する』つまり『習得に必要な魔法の分の職業点クラスポイントが貯まって初めて習得可能な項目が判明する』ってことか! 何を習得するか決める前に大量の職業点クラスポイントを稼いでおく必要があるな。現地人はかなりハンデ負ってると言う訳か)」


 どうして今更になって職業点クラスポイントのことを聞くのか謎だったが、ゲーム世界の住人だからこそ分からない仕様だったのだ。

 そう言えばステータスを見るためにレクスは指輪を利用していることを思い出す。

 ミレアは【情報開示ステータス】と唱えていた。

 

 ゲーム世界がハードなのは理解した。

 レクスがありのままを説明してやるとミレアも理解したようで喜んで感謝を伝えてくる。


 色々と参考になったこともあり、レクスも満足の1日となった。

 この世界はまだまだ奥が深いようである。

ありがとうございました!

また読みにいらしてください!


明日も12時、18時の2回更新です。

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