表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第6章:輝ける闇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/213

美少女

 ふと話題が切れた。

 その瞬間に午前中のことを話そう、と俺は思った。

「午前中に初めて野球部の助っ人してきてんだ、義兄さん」

「兄貴でいいよ。妹にもそう呼ばれてる。高校野球の助っ人って聞いたことがないな」

 フレンドリーさが増して、晶さんに好印象が募る。

「具体的にはバッティングピッチャーです」

「ナカジマくん?野球…するの?」

 千種が反応した。

「なんか人数足りないみたいでさ、打撃投手なら夏休みの間くらい引き受けるからって」

「…また、可愛いマネとかいたりするんでしょ?」

 こら、圧をかけないで、千種、お願いだから。人をタラシみたいに言うんじゃありません。

「この人、いつも可愛い女の子が寄ってくるんですよ」

 将来の義兄にそれを言うか。


 ふと横から姉ちゃん。

「私たちの父のこと話してなかったよね?」

「ご両親が事故で他界されたことは…」

「一太」

「いった?」

「うん。羽田一太がお父さんなの」

「…アメリカに長いこといた外野手の?………首位打者や盗塁王だったし、故郷の…」

「二世なのよ、この子。たぶん水泳より野球の方がよっぽど上手いと思う。足や肩なら父譲りよ」

「驚いたな…」

 千紗さんは澄ました表情をしてるけど、千種は目を丸くしている。


「本当は野球に近づけさせたくないのよね…。安易な気持ちでできる世界じゃないでしょう?だから無理やり水泳をやらせてみたけど結局やめちゃったし。まっ旦那がプロ野球選手の私じゃ説得力が…ね」

 自虐的に姉ちゃんは言った。


 一方千種はと言うと…

「これから野球の勉強しなきゃなあ」と呟いていた。

 そこそこ平和な顔合わせであった。

 なんせ行朝さんが、まだ失神してたからね。

 誰も心配してないけどいいんだろうか?


 なにか掴み所のない会話が続いている中、ふとトイレに行きたくなった。

 失礼して部屋を出、案内書きにあった廊下の角を曲がった瞬間、誰かにぶつかった。

「ごめんなさい…大丈夫ですか」

 と声をかけようと相手を見ると美少女!


 そして、、一気に、脈拍が、あがる。

「美也子!?」

「やっぱりいたー。会いたかった、先輩…」

 抱きつく美也子。

 俺の胸に顔を埋めて固く抱きしめてくる。

 半年で背が伸びたな。

 さらに美少女ぶりに拍車がかかったようだ。


 …でもな、たぶん最悪のタイミングだ。

 せめて今日でなくても。


「…なにしてんの?幸平」

 前言撤回。

 千種の声。

 世はおしなべてそう言うものだよね。


 禍福は糾える縄の如し。




やっと本編のスタート台に立ったような。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ