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嫁はご近所さん

ここ10年で最遅、最若、最弱の3冠王になった夜、同じ姓の嫁ができました………。

両手に花だな、クソッタレ。


抱きついてきた早名千種。

美也子より………。

………。

………。


「明るめのブラウンは染めてるの?」

抱きつかれたまま千種に聞いてみる。

「ううん」

幼いころに飼ってた三毛のミケを思い出させる声。

「その顔に産まれて後悔してない?」

「ううん」

端正を主義とする画家志望生なら喜んでモデルスカウトするんだろうな。

「性格がきつ過ぎていじめられてないよね?」

「うーん」

いつの間にかベアハンドがきまってるよ。千種さん。


「初対面の嫁にそんなひどいこと言う?」

「そんな簡単に君なら決められるの?」

「さっき決めた、なる」

そんな重要なシーンあったかな?


同じくらいの身長の千種をまずはやんわりと腕を使い距離をあける。

「まずは、家に入りたいんだ」

じっと僕の顔を見つめてまさに破顔一笑。

「ん。二人のね」

「え……?おまえが大家さん?」

「なによ、いきなり偉そうに」

「僕って言ってたら勝てない気がする」

「だから俺……?」

「将来、僕なんて言ってたら、いつまでも馬鹿にされそうで」

「嫁にしてくれるんだ」

「どうだろ。ただ…知り合っちまったから」

「正直は美徳っておばあちゃんがよく言ってた」

なるほど、確かにおまえは祖母の、俺の関係者だ。


〜閑話休題〜

一人称は相手との相関性で変化する。

日本語を母語とする者なら成長期に自然と学ぶ類いの社会性だ。そして少年は外からそれを意識的に習得せざるを得なかった。

僕と言う視点から、やがて他人を含む客観性を伴う俯瞰を覚えて、意識的に少年は自身を変えていくこととなる。まして単身、知り合いのいない地での新生活である。変化するには好機であった。


「ん~~とね。案内してあげる」

「その前に聞いときたいけど一緒に住もうとか企んでる?」

「? ないよ。あたしん家は前」

あ、歩いて5秒なんだ。

正面の道路はさんで真ん前ね。

受験の時に高校から転居予定のこの家まで下見に来て、時間がなくて中も確認しないで帰ったからね。

「ちなみに右も左も早名さんだよ」

「幸平の家の右も左も」

「早名さん?」

「That' right」


郵便配達の方ご苦労様です。

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