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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第5章:みんな居場所を求めてる

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恩返しする機会

 フィットネス教室競泳コース(橋本コース)に在籍は6人。

 橋本結菜。

 大杉美樹。

 児島みさ。

 児島さゆり。

 山門妃梅。

 坂上麻里。

 さてつらつらと眺めている北玲さんを背中に感じながら全員が集まった。


「大会も近いし、みんな種目はいい?」

 橋本が切り出す。

 続いて千種が発表する。

「結菜が2バックで北さんと」

「はあ?まだおばさん、泳ぐの?」

 やめてほしいな、橋本。さっき関係が落ち着いたばかりだろ。

「で、美樹が1バタで北さんと」

「………もう突っ込まない」


「8個メがみさ先輩と…」

「なんで8?」

 児島みささんが珍しく口を挟む。

「まだ泳ぎ足りないんだよね」

 あなたサボってばかりでなかったですか?

「と北さん」

 全部エントリーするんですね。


「さゆり先輩とヒメ、マロは1フリーです。あと…」

「私ね」

 ついに北さんが話に加わった。

「ついでに早名君もどう?私、年下って経験ないんだよね。大きそうだし」

 怒涛のセクハラ発言。

「退場」

 千種からレッドカードが提示された。たぶん人類初の競泳レッドカードだよね。


 赤らむ一同の中で、震える指先を美樹が隠そうとすると千種はそっと手を添えた。


 驚くことに北玲さんはすべての種目で高校生に先着した。短距離から規格外の800mまで余裕であった。橋本なんか種目で日本3位なのに。

 ついでに超長距離の児島みさ先輩にもすべての泳法でペースメーカー的に先導してベストタイム(?)に導いた。間違いなく怪物級の泳力だった。


「現役復帰しないんですか?」

 記録会終了してダウン後に、昔の北玲ショックを知らないであろうマロさんが無邪気に問う。

 意外そうに北玲さんは微笑んだあとに

「引退してないのよ、まだ」

 と言い、続けて

「所属がないし、出る大会もないだけなんだけど。あなたたちみたいな職業、JKが羨ましいわ」


 橋本も美樹も、みさ先輩も「心はまだ現役である」と言う北玲さんの言葉にそれぞれ複雑そうな顔をした。

「所属があればまた大会に出たいんかい?」

 大御所にもタメ口方言で問うヒメさん。

「率直に答えるならそうかな」

 初めて眉をひそませて

「受け入れてくれるところが日本にあれば…だけど」

「無職だからだよ」

 だからヒメさん、言い過ぎ。たぶんそれが正解でも、だよ。


 右横に立つ千種はなぜかニコっと俺を見て笑い

「役に立たなきゃね」

「どういうこと?」

「あなたを鍛えてくれた水泳にあなたとあたしが恩返しする機会かなって」


 内容がよく分からないけど、千種はうん、やっぱり可愛い。


実は幸平くんの方がべた惚れだったり?

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