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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第1章:最弱選手権者

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呪いを紡ぐ少女、立ちつくす少女

 インタビュー後の囲み取材は辞退した。新しい住所へ向かう電車の時間が気になるし、両親のこと、水泳は今日を最後にすることを今さら話すのはなんか違う気がしたので。


 報告をsnsで手短かにする。一番は…コーチごめんなさい、まずは姉に。

『一番になった』忙しい姉はいつ見てくれるだろうか。

 次はコーチに。

『満足できました。ありがとうございます。また会いましょう』

 叔父さんには

『優勝できました。また遊びに行きます』

 最後は…仕方ないけど美也子に。報告しないと後がうるさいだろうな。

『終わったよ。明日から学校だ』


 間髪入れずに美也子から返信。

『終わったね。がんばったよ』

『ありがとう』

『でも順位くらい教えてくれても良くないですか?』

『1』

 けたたましく呼び出し音がなりだしたので、周りに遠慮して素早くマナーモードに切り替える。遠慮を覚えろ、クソ後輩。

『明日また連絡するから』

『そうやっていつもいつもいつも…』

 なんか呪いの呪文らしき文が続くのでそれ以上は見ないことにする。


 慌ただしく表彰式を終える。女子の優勝者はイヤホンを渡してくれたあの女子だった。もう会うこともないだろうから、すれ違いざまにありがとうと呟く。届いたろうか。


 荷物をKさんから受け取ったら、早速駅に向かう。北へ向かう特急の発車駅に着いたら後は体を沈ませるだけ。

 やっと今日を振り返れば、昨年の優勝タイムから1秒以上遅いことに気付く。

(50mで1秒遅いとか)

(ベストが出たんだ、順位はご褒美か、コーチを信じて良かった)


 …いつの間にか眠っていた。気付くと降りる予定の駅まであと10分。一人で遠距離移動は初めてだったけど、それこそ50m自由形より短い感覚。


 駅に降り立つと春半ばだけど肌寒い。受験で来た時の雪に比べれば全然違うんだけどね。

 時間を確認しようと携帯を見たら、数回の着信と呪文めいた何かが数件。

 一度しか行っていない新居(中古家屋)に向けて携帯のアプリ頼りに歩くこと20分。

 目的地周辺に到着したことを携帯が告げ、意識的にあたりを見渡すと、新居の門に髪の長い少女が頭を垂れて立ちすくむようにそこにいた。

 まるでスポットライトのように街灯の光が彼女を浮かべている。

 …ふはは…ぜ、全然怖くないんだからね。

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