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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第3章:ツガイ

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縛りつける約束の証なんていらない

「びっくりするからやめてよ、もう」

「なにがいい?」

「なんでもいい」

「プロ野球に遊佐晶選手っているだろ?」

「あたしの家にもいる」

「毎日笑顔で玄関で迎えられて、おまけに録画で毎晩見ている人がさ」

「え?もしかして」

「遊佐葉って言うんだ、いま」


「………ねえ?葉さん幸せなのかな」

「俺は晶さんが幸せだったらいいなと思ってる」

「………そうだね。葉さんはそういう人だよね」

「千種は姉ちゃんに似てる」

「そんなこと他の子に言ったらキモがられるよ」

「千種はいいのか?」

「当たり前じゃない。あたし、葉さんが理想だもん」

「なんなら紹介しようか?」

「あたしの師匠誰だったかしら」

「ド○○○んな」

「えー?さすがにそんなボケつまん…。………びっくりしたくないから先に聞くけどさ、まさか…」

「『キミヨリ』のサキ」

 大ヒットしたアニメ映画のヒロインだ。徹底した情報管理でプロフィールは表に出ていない。

「どっちも?」

「ドエスもんよりサキのが姉ちゃんらしい」

「あたしがドエスって言いたいわけ?」

「指輪でいい?」

「『縛りつける約束の証なんていらない』」

『キミヨリ』の名台詞として流行してる。

「いらないか………」

「あたしは…」


「『10年待ったんだもの。5倍の幸せじゃ足りない』」

「フリーク過ぎるだろ」

 ほんのワンシーンだ。

「『傷口をふさぐ絆創膏になりたい』」

「絆創膏でいいなら100円で済むな」

「指輪がいいな」

「tomorrow is「another day」」

 プロポーズのシーンだった。タラへは帰らないけど。


「葉さんどこに行ったのかな?」

 自宅で爆睡してるとも知らず、千種。

「メッセージあったくらいだし、携帯とか最低限のものは持ってったみたい」

 夫妻の自室からあふれ出した夫グッズに囲まれてるとも知らず、幸平。


 夜が明けた頃。

「一緒に来てって言ったよね」

 あれだけ感情乱れていた中でよく覚えてるな。

「一日一緒にいたことないな、今まで」

「葉さんと?」

「葬儀の日くらいかな」

 千種は俺を横抱きしたまま尋ねる。

「あたしは何回かあるよ」

「美也子がいつもいたし」

「どれだけ嫌ってるかなあ」

「大の大人があからさまにできないだろ」

「横に侍らせて何様?」


 千紗さんが呼びに来たのは、いつも登校する時間の少し前。集合場所に制服でと伝え聞き

「誰も得しない場所だと思いますけど」

「大人になるとね、負け戦でも出陣しなくちゃいけない責任があるの」

「お母さん、それあたし?」

 んーて頬に指をあてて考えてから、千紗さんは言った。

「初めてだったのよね、千種。今夜はお赤飯でいい?」

「まだ!」

「初陣のことだけどねえ」

 歴史フリークの千紗さんって姉ちゃんよりラスボスなんだよな、実は。


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