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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第3章:ツガイ

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葉の危機感3

「え………?」

 千種ちゃんは歩みを止める。

「誰?」

 幸平を見て涙ぐむ。

 たぶん悲しみではなく衝撃によるものだろう。

「聞いた通りの美也子。姉ちゃん美也子のこと嫌ってたじゃん」

 今でも嫌いだよ。

「………どうして?どうして」

 千種ちゃんが泣き出した。今度は悲しいのだろう。


 さあ、勇気を出して。

 クソッタレな世界を抜け出そう。


「美也子ちゃんのこと、幸平が嫌なら無理強いはしないよ。その時は晶さんの親戚から…」

「まるで…まるで千種以外なら誰でもいいような言い方するなよ」

 幸平が私に反論してきたことは初めてな気がする。だからはっきりと告げる。

「焦点化する時間ないからね。千種ちゃん、あなたは幸平の邪魔」

 声すらあげられず千種ちゃんは崩れ落ちた。

「姉ちゃんなに言ってんだよ!」

「あんたたちのおままごとが回りに迷惑かけてるの自覚してる?」

「見てもいないのに分かった風に言うな!」

「一晩だけ猶予あげる。今までこの家を守ってくれたお礼。もちろん対価は払ってるから、貸し借りなしね」

「出ていけ!出ていってくれよ」

「私の家だけど。…まあいいわ。二人とも明日は学校休みなさい。それで私に付いてくること」

 私はお土産を持って家を出る。

 目的地は目の前。

 わずかな距離で立ち止まり、灯を見やる。


 ごめんね、幸平。

 ごめんね、千種ちゃん。

 第二幕は大人の話。


 行朝さんの家にお邪魔する。私の旦那さんが出迎えてくれる。

 思わず後ずさる。知ってはいたけどいよいよ等身大パネルかあ。

 私の縁はもしかしたら行朝さん夫妻が繋いでくれたのかもしれない。

 短く思考すると

「いよ〜久しぶり」

「夜に突然すみません。ご無沙汰しています」

「千種に会わなかった?少し前に行ったはずだけど」

 話しかけてきた千紗さんに会釈する。

「たぶん今夜は二人だけで過ごすと思います」

 そして深くお辞儀をして

「千種さんを傷つけてきました。お詫びいたします」

 うん?と眉を顰める行朝さん。

 あらと片手を口元に寄せる千紗さん。

 はっきりと告げる。

「今日来たのは、ツガイのことです」


 私にとって長い夜になる。そう覚悟した。

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