表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第2章:始まりはいつも録画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/209

あこがれ

 オカルトじみたメガネっ子・佐藤さんとメガネなしっ子鈴木さん…宮司の割にありふれてるな…は、千種が部屋に来たタイミングで席を立った。まるで千種に席を温めておいたかのように。


「怨霊退散!」

 それを聞いてまるで清姫のように千種は毛を逆立てた。

「どういうこと!」

 だから怨霊退散。召喚したのも俺か。

「愛と話したんだって?」

 日下部さんのことか。

「ん、ちょっとだけ」

 日下部愛、佐藤美亜、鈴木不乱と言うらしい。

 乱れず?乱さず?

 女の子にその名前はないんじゃないかな、と感想を告げると


「えーと源氏名?宮司名?なんかそんなのらしいよ」

「学校で本名でなくていいもんなの?」

「知り合った頃から不乱だし、今さら他の名前聞いても誰それって思うだけだし」

 そういや橋本にも和田か早名かなんて話されたっけ。

「あの3人、千種の友達なんだ」

「うん。今はほとんど遊ばないけど昔は同じクラスだったこともあるよ」

 頭の中で整理する。千種の友達はヒメさん含め3人…マロさんとキントキさん…、知り合いが日下部さん他か。グループが他のグループと緩く繋がる感じかなと見当をつけて、はたと疑問に突き当たる。なんでみんな千種を直接気にかけるんだ?そんでなぜ千種のいないタイミングで俺を推しはかる?


「千種、おまえぼっちだったの?」

「? なんでよ。普通にみんな友達だけど。ぼっちは幸平じゃない」

「昨日まではな。もう俺は友達100人できた」

「富士山って山開きいつだっけ」

「かなり遅かったと思うぞ」

「登山税ってどうなんだろ」

「外国だとトイレ使うのにも税金かかるし」

「よっ帰国子女」

 あれ?


「じゃあな、幸平。野球部考えてくれよ」

 沢村が俺を口説いたあと帰っていった。

 また野球か。

 ヒメさんの挨拶でお開きになり、みんなそれぞれの方向に向かう。俺はヒメさんと千種と3人で駅へ。


 最内駅には日下部、佐藤、鈴木もいた。特に合流もせずそのまま別れて帰るようだ。

 グループが違う………程度のことなんだろうか。さっき顔を合わせた時みんな手を振っていたし、俺がなにか違和感を持つのがおかしいのか?


 電車に乗り込むと、朝はやたら張り切っていた千種が疲れたように俺の右肩に頭を寄せ寝始めた。

 左には幾分距離を開けてヒメさんがいる。

 どこか見守るような視線でヒメさんは優しく千種を見ている。

 話の穂つなぎになった俺はヒメさんに何気なく質問する。

「千種って仲間内で浮いているのか?」

「うん?まさか」

 笑うヒメさん。

「気のせいかな。みんな千種と距離があるような気がして」

 千種がいない場面に限ってサナメノツガイを聞いてくる理由ってなんだ?

「旦那だねえ、幸平くん」

 ヒメさんは空中のどこか一点を見据えたまま

「小学校の高学年になってきたらさ、みんななんとなく千種は私たちと違うって思うようになってきてね。こんな綺麗な顔で頭もすごく良くて、そんで王子様一筋だもんね」

「いまや居眠り王になれた」

「照れ隠ししなくていいよ。浮くって言うか、あこがれみたいなものかな。うん。いつか幸平くんに昔話してあげるよ」

「千種の?」

「ううん。千種よりずっと昔の話」

「今じゃ駄目なん?」

「もう高良に着くよ」

 確かに直後、高良到着を告げるアナウンスが車内に響いた。


 ちなみに家に着く前に行朝さんに家庭内誘拐されて、夕飯から朝飯まで、一緒に楽しく録画を見たのだった。主に行朝さんだけが。

時間経過よりエピソード数が増えたので一旦章締めとさせていただきます。正直まだまだ続きます。

みなさま良いお年を。

心のスタミナがまだあれば今日もまだ投稿するかもしれませんが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ