メガネっ子は魔女っ子
日下部さんに勝手に親戚認定?された後、まわりの人とくだらない俺の前地元の話をしていた。たぶんトイレだろうけどひっきりなしに人が出入りしている。その分人が入れ替わっている。
日下部さんが席を離れると女子二人が隣に座る。偶然にも日下部さんと同じタイプの希少種だ。
「サナメノツガイ」
呪文を唱える。
「オープンセサミ」
「千と一夜は合計何年何ヶ月なんだろ」
「2年9ヶ月だね」
メガネっ子が淡々と答える。
「何言ってんの?」
メガネなしっ子が不思議そうに聞いてくる。
「さっき日下部さんが俺と親戚かも?と言ってたけど」
「ああ。人類みな兄弟くらいの関係だよ」
「それについてコメントしたら何言ってもマイナス評価されそう」
「…………そか。千種が選ぶわけだ」
またか。
「中学入った頃かな?千種に聞いたことがあるんだ。知らない男の子を待ってたって、いざ会ってみてがっかりしたらどうすんのって」
「子供って残酷」
「若かったからね」
「俺たち成人?」
「どうしようかなって笑ってたよ」
「ふうん」
「15才まで誰かに待っててって言われたからだって。早名女のツガイってその時初めて千種から聞いた」
「正直こっちに来てから一週間経つけどツガイって何がなんだか」
「の割には千種となじんでるよね」
「ご飯おいしいから」
「それもう嫁じゃない」
笑いながらメガネっ子は、
「千種待ってたんだからね。泣かせたら」
「呪うよ」
アラビアンナイトに魔女がいたかどうか今度確かめることにした。
さて手持ちの札はこれしかない。切り札になるかどうか。
「君たちは早名の人?」
ふ〜ん…………と俺をじっと見るとメガネっ子は
「あたしはおばあちゃんが早名の人。でこの子は」
そして、ちらりとメガネなしっ子を眺めると
「両親が早名の宮司」