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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第2章:始まりはいつも録画

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太閤さん

 不意の自覚に戸惑う。

 心臓が早打ちして、心とのバランスが非常に悪い。水泳の成績が伸びて身の丈より大きな大会に出られるようになり始めた頃の、場違い感に似ている。


「幸平はあたしに会えるようなちゃんとすごい男になってここに来たの?」

 数日前の千種の問いを思い出す。

 ………自分の肩書じゃないな。正解はいつ出せるのだろうか。


 機嫌良さそうに千種は俺の右横に座っている。

 そして電車は早々に目的駅に着いた。

 初めて降りる駅だ。

 小さめのロータリーに目立つ集団がいた。

「あ、千種〜!」

 幾人かの女子が手を振る。俺が寝ている間に交流が進んでいるみたい。

 千種は俺をおいて駆け出していった。

 さあ、最初の試練だ。


 野郎が固まっているあたりへと俺は近づいていく。

「早名くんって…………動くんだ」

 自己紹介したよね?

 この群れのボスは…沢村だったな。まず今日の目標は舐められないようにすること。

「俺たちが最後だったか?待たせてたら悪かった」

「まだ来てない人もいるから大丈夫だよ」

 意外にも答えたのは沢村の隣。誰?

「話すのは初めてだっけ。僕は田中秀吉。好きに呼んでよ」

 フレンドリーだね。沢村じゃなくて太閤さんが頭か。確かにそれ以上偉い地位ないもんな。

「たい……田中か。よろしく」

 右手を差し出しかけて、おっ…と気付く。たまに子供の頃に身についたくせが顔を出す。日本人ならお辞儀だ。もっとも高校生どうしがほぼ初対面でお辞儀を交わす可能性があるのか?

「これからアラウンドゼロに行こうと思うんだけどいいかな?山門さんに確かめたら女子はオッケーだって」

 カラオケ、ゲーム、室内スポーツなんかの複合娯楽施設を太閤さんはあげた。

「ああ、うん」

 しばらくして予定の全員が揃ったようで、ぞろぞろと目的地へ向かう面々。

「早名はスポーツするのか?野球はどうだ。今ならレギュラー確約だ」

 沢村が話しかけてきた。高校野球ってそんな簡単にレギュラーになれるもんなの?

「不本意だけど毎晩野球漬けだ」

「おー、野球やろうぜイソノ」

「圧迫面接やめなよ、光秀」

「なあ?田中くん。柴田くんってこのクラスだっけ」

「柴田くん?学年にいたかな?」

 クビをひねる太閤さんだった。今日の目標はまだ見知らぬ武将探しに変更だな。


 後で知ったけど田中くんはサッカー部でDFより前目がポジションらしい。なるほど。

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