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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第2章:始まりはいつも録画

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見立て悪くないよ、あたし

 翌日。

 行朝解説者と早めの別れが昨晩できた俺は(千種の必死な説得…親子喧嘩とも言う)、敗者行朝が泣き崩れるのを尻目に零時前に帰宅する快挙を成し遂げた。

 下校時間まで寝ていたのに、また寝れちゃうんだから思春期って素敵。

 集合が最内駅ってことで、同じ市内だけど電車移動するために最寄りの高良駅が千種との待ち合わせだった。家庭内誘拐を心配して父親の目の行き届かない隙を狙って、「今だ」と千種から出発のタイミングの連絡が入る。無事成功。

 なにかおかしいと首をひねりながら、俺は駅に着く。わずかの差で千種も到着した。遠目からでも彼女は見分けがつく。まっスタイルも顔もよく目立つのは間違いない。

 薄手の爽やかな色のブラウスに同系色のカーディガン、下は色落ちに見せたジーンズにスニーカーとまるっきりラフな自宅仕様の千種。

「ふーん」

 千種は俺を不躾な視線で眺める。女の子って大変なんだなと分かる。

「幸平の趣味?これ」

 赤めいた色のロンTにの茶系のカーゴ、グレーのフルジップパーカーが今日の俺。美也子仕様だけど。

「めんどくさがりな幸平なら黒ばっかり選びそうだけどな」

「そうかな」

「今度一緒に買いに行こ。見立て悪くないよ、あたし」

 ナチュラルにディスられたぞ、美也子。

「ちゃんと起きてる?」

「失礼な。バリバリの昼型だぞ、俺」

「あなた今が睡眠時刻でしょ?」

「あれは」

「あたしが側にいるからでしょ?」

 あたし推し?

「教室の席が近いだけじゃん。あー、でも安心感はあるかな」

「先生に指されても助けないよ?」

「いくらほしいんだ?」

「いっぱい好きになってくれたら」


 電車がもうすぐ着く。

 千種は俺の右腕に巻きつき、

「ずっと横にいる」

 覚悟の決まった女の振舞いは

「行こう?」

 映画のワンシーンのよう。

 甘い匂いが鼻をくすぐる。

 もし恋に落ちたのがいつかと問われたのなら。

 いつも変わらず今だったと答えることにしよう。

 千種がもっといい場面との差し替えをねだったとしても。

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