男の子とおばちゃんの猥談
登校二日目。
なんとかクラスまでたどり着いた俺は下を向いて睡魔とたたかう。
「おはよ」
と遅れ手登校してきたヒメさんが挨拶。
右手を上げるので精一杯。
「おりょ?幸平くんなんか疲れてない?」
ヒラヒラと右手を振る。
「の割には千種は…ピンピンしてるね。千種のおねだり幸平くんには激しかったのかな?」
「お父さんと徹夜したのよ、馬鹿二人」
「両刀かい?幸平くん」
朝から老練なポルノ作家みたいなコメントするなよヒメさん。
「おはよ。幸平くんいつからクラブ始めるの?」
あれ、この声橋本か?
「ヒメさん、千種ちゃん昨日はありがとう」
「おーなんのなんの」
「うん、落ち着いた?ゆな」
「だいぶ、かな。まだちょっと不安感ある」
「正直に言えたら全快間近だよ」
「一人暮らしなんだっけ」
「うん」
「じゃ帰ったら心細いね」
「そうなんだよね…ね?千種ちゃん、幸平くん貸してくれないかな」
「幸平?なんに使うの?」
「夜寂しいから、おもちゃ?」
「いいけど、高いよ?」
「あんたらね…」
ため息を吐くとヒメさんが
「うちにも貸して」
アホくさくて突っ込むのもしたくない。ただ分かったことがひとつ。俺の持ち主は千種らしい。アホか。
「不思議な子だね、ゆな」
「そうだな」
「釘は刺したけどさ、念のため」
「幸平、知り合いなんでしょ?なにか知ってる?」
「どんな子ってもなあ」
「あ、眠りから復活したねっ幸平くん」
「神の子だからな」
「イエス」
橋本について知ってること…うーん…そもそも所属してたスイミングだって県の両極くらい離れていたし…
「あ、橋本三姉妹だ」
「何それ」
「確か一つ上にお姉さんがいて、去年の日本チャンピオンだよ。妹も有望選手なはず」
でも、お姉さん今年いたっけ?
「詳しいね、幸平くん。水泳オタク?」
千種に口止めしといて良かったな。ここじゃ水泳経験を知られない方向で生きていきたいからね。
「クラブに来るとか聞いてなかった?」
橋本にも口止めしとかないとダメだな。
適当にヒメさんに返事をしてると
「水着見たいんでしょ。千種いるのに男の子だねえ、幸平くん」
見すぎて飽きてるんですわ、これが。乳輪の大きさだって分かるくらい透けるときあるし。
「もっとマニアックな方がいいかな」
「あらまあ」
なんかヒメさん、おばちゃんみたいだ。
どっちかと言うと俺は…
千種に目をやると、千種は小さな声で耳元に
「黒」
囁いた。うん。アイコンタクトはさらに進化したね。




