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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第2章:始まりはいつも録画

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声優と野球選手

 遊佐葉…結婚した姉ちゃんの名前だ。

 姉ちゃんは早名姓ではなく遊佐を選んだと言ってた。

 学力的には日本最高峰の大学院で学びながら、どこかの外資系会社の実験室に潜り込んだ(本人談)あと、半年も経たないうちに声優をすることになったと連絡があった。

「忙しいな、姉ちゃん。連絡あるたびにびっくりするんだけど」

「遊び半分に受けたら受かっちゃって」

「何の役やるの?」

 人気のSF作品を挙げた。ずいぶん前から小学生を主人公とした人気作だ。

 言葉に詰まる。海外にも輸出されてる有名過ぎるアニメじゃん。つーかアメリカでも見てたぞ、俺。確か世代交代とかで主役級がごっそり入れ替わるってニュースでやってたっけ。

「一生安泰じゃん」

「知らない世界だからね、どうなんだろ」

 夢を壊さないためにと姉ちゃんは言ってたけど、その後発表された配役には姉ちゃんの欄が役者名だけで、プロフィールはすべて秘密となっていた。


 次に連絡があったのがまた半年後。

「結婚した」と。少し慣れてきた俺は冷静に

「で、誰と」

 いじめっ子とかゴマすりじゃないだろうな、と心で突っ込んだ。

「遊佐晶さん」

 ついに妄想を話すようになったか、姉ちゃん。大の野球ファンなのは知ってたからこその疑問。

 遊佐選手は甲子園の本塁打記録をうちたてて、ドラフト史上最多競合の末に古豪の人気チームに入団した。同級生の投手、依田選手と並んでワイワイコンビとして有名だった。入団してからも、中距離砲ながら勝負強いバッティングで記録より記憶的な選手として評価が固まりつつある。

 と言うのが俺の記憶だった。

「夢見たの?」

「代わるわ」

 テレビ電話の位置がぐるりと回り、

「こんばんは。君が幸平君?よろしく、遊佐晶と言います」

 あ、本物。その後はなにを話したか覚えていない。たぶん相槌しかうっていなかったんじゃないかな。


 声優と遊佐晶。なんだ、この組み合わせ。後日、この有名選手が実に内省的で知的であることを知るのは別の話。



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