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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第12章:冬来たりなば

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千種邸の出会い

 週末になった。夫婦でお出かけの日だ。

 一応バスかなんかの交通手段を考えていたのだが、どこで話が回ったのかローゼ家の車で迎えに来ていただけることになった。


 約束の時間通りに()()はやってきた。白のありふれた…いや汚れたワンボックスカー。

「愛車(軽トラ)に5人は乗れなくてな」

 はじめましての挨拶のあと、トーマスさんはそんな風に笑った。あいにく行朝さんは不在で千紗さんが代わりにトーマス夫妻に会うために玄関にいた。千紗さんに会うためにトーマス、マリー、太郎家族がぞろぞろと中に。


「うっ」っとトーマスさん。

 いつぞやの誰かと同じで、やっぱり義兄遊佐晶の等身大パネルに身を引く。

 みんな驚く遊佐晶。


「驚かせてごめんなさい。家の人が大ファンで」

 千紗さんが謝る。そして俺に話していいか?と目で問う。ついに千紗さんともアイコンタクトできるようになった。

「構わないですよ」

 と、言葉で答える。

 千紗さんは頷くと

「娘が幸平くんと正式に籍を入れたら…親戚になるんです」


 トーマスさんは軽く笑う。

「今じゃ日本のスーパースターですね。どのようなご関係に?」

「俺の姉が晶さんと結婚していて」

 ぽかんとしたトーマスさんと太郎。驚いたようだ。もしかしてこのネタ使える?

 …いやなんにだよ、と自分に突っ込みつついると

「昔わたしが所属したチームに今いらっしゃいますよね」

 と、衝撃?の言葉。太郎と違って紳士的な言葉遣いだ。

「その時はずいぶんご活躍でしたよね」

 千紗さんはそんな風にトーマスさんを知っていた。太郎は…まだ俺と晶さんが兄弟の事実を消化できないようだ。


「妻のマリーです」

 と家族を紹介。太郎も続く。

 ずっとマリーさんは笑みを絶やさない。水泳関係者くらいしか知らないだろうが「微笑みのマリー」の異名もこの人にはある。

「千種が今度からお世話になるそうで。よろしくお願いします」

 と千紗さんはマリーさんに頭を下げる。


 千紗さんってほんと揺るがないよな。動揺しないって言うか。もしかしてとんでもなく器の大きい人なのか?


 少々の世間話を交わし、それではと千種亭を発つことに。騒いではいないけど、音を聞きつけたのか前の家から(もはや姉の持ち家か大杉宅かも曖昧だ)光太郎が出てくる。遅れて橋本も。

 …橋本?


「どうしたんだ?」

 光太郎が問うと、太郎が

「なんか幸平先輩が家の仕事のことでインタビューなんだと」

 と無造作に答える。

 一方橋本は…フリーズしてた。マリーさんを見つけたからだ。

「あら、ゆなさん。お休みの日に会うなんて、今日はいい日ね」

 橋本は…なんとか言葉を絞り出しつつ

「お()()の家にきてたんですよ」

 と言い訳。

 軽く微笑んだマリーさんは

「男女の友情は大事になさい」

 と言葉を残し車に乗り込んだ。


 橋本はただ頷いていた。


千紗さん政治家に向いてそう。

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