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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第12章:

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取材へ

 俺の人生は補欠である。

 好き好んでやってるからいいんだけどね。


 11月も終わりに文化祭と体育祭を続けてするのはいかがなものかと思う。3年生はどうしているんだろう。来年からどちらも一学期になるって話だし、なんだかかわいそうだと思うのはそんなにおかしくない。


 太閤さんもヒメさんも忙しそうにしている。

 そして俺は暇だ。千種が有能なせいで仕事が回ってこない。戦力外じゃないよ?


 クラスの展示は「キイロバナの歴史」。ありがちだなあ…。そしてなんだかおれはキイロバナには複雑な思いがある。

 千種のこと。風土病のこと。御地での奇怪なできごと。

 どうにも手放しで綺麗だと褒めそやすことのできないわだかまりがある。


「と言うわけで、幸平くん取材お願いね」

 ヒメさんが何事か俺に言っていた。

「ごめん、もう一回」

「勉強のしすぎかい?千種に勝とうと思ったら頑張らなきゃダメだよ」

 とヒメさんは勘違いする。


 キイロバナのことを考えていて聞いてなかった…。

「栽培してる方にインタビューしてね」

「アポは?」

「さっさととってあるさ。行って聞いてきて。要点はまとめてあるよっ」

 と豊かな胸を叩く。


 目がいっちゃうのは仕方ないよね、男の子だもん。

 千種、尻をつねるな。地味に痛い。

 次の週末か。

「なんでも外人さん二人でやってるんだとさ。日本語上手だったから英語苦手な幸平くんでも大丈夫」

 一応、英語がネイティブなんだが…。ヒメさんは知らないよな、そんなこと。


 その夜に千種が言う。

「マリー先生に会ったことあったっけ?」

「んーまだない」

「じゃあ挨拶もできるしちょうどいいか」

「どういうこと?」

「栽培してる二人ってロゼ君とキャリパー君のお父さんたちよ」

 へえ。三馬鹿の二大巨頭か。なんか数が合わんけど。


「マリー先生がローゼさんと夫婦なんだよね?」

「そ」

「ロゼかローゼか、どっちなんだ」

「ローゼらしいよ」

「太郎は短くロゼって言うのに」

「響きかなにかかなあ」

「あいつ気分屋だからな」


「一緒に行く?」

「行かないのか?」

「もちろん行く」

「じゃあなんでそんなことを…わざわざ」

「野球の関係者でしょ、幸平」

「気にすんな。水泳の関係者でもあるし」

「そっか。これからは水泳もなんだ」

 千種は嬉しそうに言う。


 今や千種の方が水泳に関わっているから、俺は自分が添え物の感覚がどうも芽生えているらしい。

 一応日本チャンピオンなんだけどな。最弱の。


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