上級者・千種
おかしな一日だった…そんな感想を持ちながら帰宅する。
部屋で着替えていると「幸平」と珍しく甘えるように千種が後から声をかけてきた。
「んあっ?」
と我ながら間抜けな声で振り返ると、そこには尻。
「なんだあ?」
と驚き、よく見ると千種のお尻は短い制服のスカートに包まれており、その中から綺麗に伸びた黒いストッキングの美脚。
あ、やば。
瞬間的に血の気が下の方へ。
千種の脚ってこんな破壊力もってんのか…。
なにかをああしたい…との強い欲求を抑えつつ、じっくりと観察する。
至福千年。
「ほんとに好きなんだ」
千種がこちらに向き直る。
「どう?」
「千種さん、俺とつきあってください」
「なにを?」
あ、今さらか。それともなにを?
「分かった?」
「いろいろと」
「まだ半分しか本気出してないからね」
俺は千種の怖さをいよいよ知る。
「旦那の性癖を広げてどうするんだよ」
「あなた、みささんに見惚れたでしょ」
えー…認めた方がいいのか?正解が見えない。
「黙ってないで答えて。あたしとどっちが魅力的?」
答える代わりにストッキングの感触を撫でて確かめる。
「ねえ…二人きりで住むようになったら、もっとしてあげる」
耳元で囁くとか上級者の貫禄。
よし千種に礼をいわねば。
「今度のとき何回…いきたい?」
・・・
思わぬことでしばらく動けずにいた。
ほんと男って単純。
でやっと玲先生の報告。
「あら、幸平水泳に戻るの?」
しれっと聞いてくる千種。だってみささんと約束したろ?
「他の女の約束が大事?」
……。
ひょっとして怒ってる?
「…当たり前でしょ」
そりゃまあ…。
「右腕だったら本気で怒るところだったわ」
定位置ってか、お気に入りの場所って言うか。
「怒ってるのはね…みささんがあたしを試したこと」
なんでそんなこと。
「分からないかな。隙があるなら幸平をあたしから奪うって予告よ」
そんな大げさな…。
「幸平のタイムを気にしてるうちにだんだん気になりだして…」
そんなことあるか?
「とかそんな甘っちょろい動機じゃないもの」
どういう?
「好きになったから、でしょ?」
うわ…まじか。
「なんかねえ…キントキも怪しいのよね」
えー?
「黙って見過ごすつもりだったんだけど、どうしてあなたは面倒なことばかり起こすの?」
それは…おまえが幸せそう…とかじゃなくて、いい女になってきたからじゃないか?
「だったらなおさら。略奪なんて絶対にさせない!」
あなた…もしかしてミコさん?
ギリR15?




