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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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強美人

 衝撃の告白ってほどではないだろう。

 だけど確かに監督の言う通り、微妙な縁と言えばそうなのかも知れない。

 あの年…春夏と甲子園で優勝したチームの中心選手、遊佐晶と依田日向は間違いなくドラフトの目玉であった。

 全球団OKの姿勢を見せた遊佐晶に対し、依田日向はある条件を出したのである。

 投手としてまず自分を評価する球団に入る…打者としても卓越した才能を持ってるがゆえ、明らかに球速が落ちる投手としては、打者より低い評価にならざるを得ない。

 依田日向は投手にこだわる姿勢にこだわった。

 …と言うのが姉から聞いた当時の状況である。今から8年も前のことだからね。


 依田日向が今年夏にモデルチェンジした理由…は語られたことがない。同時に結婚したので、もしかしたら玲先生が関係あるのかもしれない。

 それは二人だけの…。


 そんなことを思っていると、監督から

「早名?どうした?」

 と声がかかり我に返る。

「あーすみません。いただいたお話が大きくて思わず…」

 まさか自分のこととは思っていないだろう玲先生は

「そうね。相談したい人もいるでしょうし。急がなくていいわ。でもできたら…」


 正直答えは決まっている。この場で答えても二人には差し支えないだろう。だが…。


「お似合いの奥さんがいるんですよ、早名くん」

 ちょ、先生。

「はあ?早名…おまえまだ16だろ?」

 監督は千種のことをはっきりとは知らない。だからかなり驚いている。

「もちろん、まだ籍とか…のお話ではないですけど。なんて言うか…夫婦だなって感想しか出ないんですよ」

「なんだかなあ…高校生の分際で…俺だってまだ…」

 仕方ない、慰めよう。

「こればっかりは縁ですから」

「煽ってるようにしか聞こえないわよ、早名くん」

「思い出したが羽田のかみさん、とびっきりの美女だって噂だったな」

 監督は俺の顔を眺めつつ、深くため息を吐く。

 ふと、玲先生がなにかを思いついたように監督に向かう。

「同年代の方で子供さんがいらしても良いですか?」

「あ?なんだ、誰か紹介でもしてくれるってーの?」

「少し気丈な方で料理はプロ級…プロなのですかね…はっきりとした京美人が知り合いにいるんですが」

「言っとくが俺はばつなしのこの年まで独身だぞ」


 あれ、監督その気になっちゃいました?

「男一人で40超えるとなあ…寂しいもんだぞ」

 ちょっと想像できないけど、そんなものなのかな。


 先生の提案はなんとなく監督のボヤキで腰砕けのまま終わった。

 たぶん、橋本家の核弾頭、薫さんを紹介しようとしている。最近料理で絞られている腹いせ?

 天下の北玲がそんな小さなことで企まないだろう。


 薫さんは強美人である。



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