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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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限界

「校内に不埒者がいます」

 へえ、とんでもないですね。

「なんでも女子二人に腕をとられて人気のないところに消えたらしいです」

 そんな羨ましいやつはみんなに糾弾されねば。

「心当たりない?早名くん」

 どう考えても俺ですよね!


 午後の帰りのホームルーム。玲先生が俺を見る。

 どう答えたらこの気まずさから逃げられるんだろう。

「後でお説教するから体育準備室まで出頭」

 逮捕されるのかよ…。


 本来なら部活の時間だ。沢村に悪いと手をあげると、あいつは両手を合わせて合掌しやがった。

 …つまり了解したってことだろう。


 早速準備室へ。

 さすがに千種はプールに向かっていった。

「悪いわね、来てもらって」

「とんでもないです。不埒者ですみません」

 まあ皮肉にもならない冗談だ。

 玲先生はニコッと笑い、席に促してくれる。

「ああでも言わないとうるさい先生もいるのよ」

 ご迷惑をおかけします。ではと、失礼して席に座る。

「でね、先日相原さんと打ち合わせのために連絡をとったんだけど」

 来週こっちに来るもんな、コーチ。

「その時にあなたの話題になったのよ」

 コーチをここに紹介したの俺ですし、むしろ話題にならないわけないですよね。

「ほらあなたのこと知ったの最近じゃない?」

 日本選手権のことだろうか。

「改めてあなたのレースを見たわ。ついでに相原さんにも頼んで個メのビデオも」

 ありがたいですけど、先生のレベルからしたら俺なんか平均的スイマーなだけだと思うんですが。


「マリー先生にも一緒にみていただいたわ」

 そんなこと知らぬ間に…。

「相原さんもおっしゃられていたけど、早名くん、もう一度水泳をやらない?」


 今年は驚くことが多いけど、まず3位以内には入るであろうくらい驚いた。

「えっと…何か理由が?」

「ひとつは相原さんが残念がってたの」

 あー…まだ。コーチに感謝する。本当に気にかけてくれていたんだ。十分理解できた。

 それでも…。

「他にもありそうですね」

「相原さんとの話の後にマリー先生にあなたを見ていただいたんだけどね…結論…と言うか、先生はあなたはまだまだ、早くなる、と」


 嘘。

 なぜか体が揺らぐ気がした。あの鉄人が…そんなことを?

「マリー先生の指導実績を早名くんご存知?」

 恥ずかしながら知りません。

「一人一人を例にしたら長くなるから、結論だけ。ほぼ全員が世界トップクラスよ」

 先生は?

「私は…限界が来たのかな。だから日本に帰ってきたの」


 それは…巨星北玲の嘘偽りのない言葉だった。


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