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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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202/211

幸平くんがターゲット

 さて校舎裏。

 山国たる我が高良もずいぶんと寒くなり、いくら昼休みとは言え校舎外へ出てくる人はいない。


(告白するなら暖かい日にすべきだよなあ)

 寒いと断られる確率も高くなるんじゃないかと推察する。

 いや案外生存本能を刺激して…。


「生命に思索するのは別の時でいいかな」

 みささんが言う。

 漏れてた?

「幸平くん、ほんと揺るがないね」

 なんのことですか?

「割と全力でからかうつもりだったのに」

 つまり?

「こんだけ短くしても千種ちゃんしか気にしてないとか自信なくしちゃう」

 と、スカートをつまみ上げる。


 それ以上は…。

「見ちゃダメ!」

 千種が慌てて俺の目を覆う。

 手が外された時には、千種が舌をんべっと出して、みささんにダメ出しをしていた。


 同時に「間にあったかな」とさゆりさん登場。

 この人はこの人で…。

 化粧っ気が濃く人工美の印象が強いみささんに対し、天然物みたいな美がある。

 二卵性と聞いていて、あまり似ていないと思うが、さりとてどこか同じ雰囲気がある。


 背はずいぶん違うし、その性格も違う。

 だけど困った時に眉を潜ませたり、照れた時の口元なんかはそっくりだ。


「で、くんのことだけど」

 本題ですね。

「幸平くんをなんだか崇拝してるみたいで」

 俺は何もしてませんよ?

「さゆりと話して、りくのいる最内でいいかなと思ってたんだよね」

「そしたら昨日の晩になって一条くんたちと高高にするって言い出して…」

 いきなりですからね、お姉さんたちはびっくりしますよね。

「理由を聞いたら、幸平さんカッコいい、俺も女神様みたいな彼女がほしい、しかも同級生にとんでもない美人が高高へ進学予定だから…ってさ」

「思い当たる事がありすぎて笑っちゃったんだけど」


「りく一人だけで寂しくないかなと」

 と、さゆりさん。そうか、さゆりさんはりく担当だっけ。


「だからね、幸平くんをあたし()()にちょうだ…」

「あげません!」

 再びんべっと舌を出す千種。


 橋本みたいこと言わないでください。ほんと…。


「やっぱり?」

「やっぱり」

 断固拒否の千種。


「あたしたちのターゲット(タイム)なんだよね」

 玲先生だかそんなことを言ってたような。

「さゆりもなんだよね」

 個メは分かるけど、自由形短距離中心のさゆりさんが?

 ……あ、俺今年の日本選手権優勝してたわ。忘れてた。

 つーか、女子選手のターゲットにされるって俺のタイム…。


 まあ、努力の結果を恥じても仕方ないか。

「くんの教育方針によろしくない件って?」

「それ」

「幸平くん、助っ人っていつも言ってるよね?」

 ええ、実際そのつもりです。

「途中で飽きたからやーめたとかしない?」


 ああ納得しますわ。あこがれて進学したら、その人がいきなりやめたらがっかりするよな。

「んー…」

 結構核心を突かれてたりする。


「ああ、それなら…」

 千種カットイン。

「大丈夫ですよ。あたしが保証します」

「ほんとに?」


「この人馬鹿ですけど、止めることが苦手なんです」

「千種ちゃんが言うなら大丈夫ね」

「俺の意思は?」

「今回はなし」

 ひどくない?それ。


 なんとはなしに高校は野球漬けになりそうだ。


「よく水泳をやめられたね」

 優しいさゆりさんがぽつりと言う。


 ずいぶん昔のことに思えて、苦しかったのか悔しかったのかどうにも思い出せなかった。

タイムが近いせいか、水泳を通して幸平くんを理解できるのは千種ちゃんより姉妹です。

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