表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/210

左腕の至福

 沢村に希望を与えた日の昼休み。

 突如混乱が起きる。


「幸平くんいる〜?」

 と、クラス内に甘い声で誰かが俺の名を呼ぶ。

 聞いたことはあるんだが誰だっけ?

 クラスの連中はその声がした方を向く。

 当然俺も見る…わけもなく、千種をまず確認する。浮気夫じゃないからな。


 千種は…ぽかんとしてた。珍しいこともあるもんだ。昼飯時だってのに。


「幸平く〜ん」

 二度目も甘く。

 はいはい、今行きますよっと。前の扉か。


 …ありゃみささん?

 小悪魔的な笑みを浮かべて俺を見あげている。

 癖のある髪を肩まで伸ばし、ミニスカは非常に短い。さすがに寒くなってきたからか、今日は黒いストッキングでお御足を包んでおられる。


 …いやね、性癖にささるってこんなことを言うんじゃないか…。

 しかもみささん、実は胸も…。折井並みの凶器/狂気だ。


「どうしたの?いつも水着見たって死んだ魚みたいな目をしてるのに」

 そりゃあ、水着なんかより…。

 同級生の人たち大変だろうな。こんな歩く性癖の固まりみたいな人を横目に見なきゃならないなんて。


「ストッキング好き?」

 そりゃ男なら。

「今度ね」

 ぜひ、お願い…。


「誘導尋問やめて、千種」

 当然、嫁が現れるわけで。

「ここまでどうしたんですか?みささん」

「うん、くんのことで」

 あーもう伝わったんですか。

「なんか早名組だとか、姐さんみたいな美人を恋人にするんだとか浮かれていて」

 あいつ曲者キャッチャーキャラじゃなかったのか。

「教育上よろしくないかなってちょっと相談に」

「今ですか?」

「うん、いい?」

 と、なぜか千種の方に片手を上げて頼む仕種をする。

「あなたの方がよろしくないかと…」

 などと言えるはずもなく、俺は曖昧に頷くのみ。

 千種も同意したようで

「どこにしましょうか」

 と問う。

「校舎裏でいいかな」

 と、みささんは俺の()腕を抱いて歩き出す。偶然ならいいけど、うっかり反対側持ったら千種が暴発しますよ、先輩。


 左腕、みささんの胸が当たって気持ち良い。俺ははっきり言える日本人(人生2回目の断言)。

 後から千種が付いてくる。

(怒んないの?)

 目で千種に問いかける。

(いつものみささんだし)

 千種は諦めきった顔で頷く。

 みささんはこれで本当に他意がないのだ。


 おかしな言い方だが、俺だからいいものの勘違いするやつがきっといることだろう。

 教育上よろしくないのは児島家長女の方ではないだろうか?


 そう考えると

「千種が嫁で良かった〜」

 と、本音を漏らす。さすがにみささんに失礼だったか?

 右腕に千種が絡みつく。

 両腕をふさがれて少し慄く。

 どうか玲先生とかに見つかりませんように…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ