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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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千種ご乱心、早名組結成

 本音を言おう。

 馬鹿がまた増えた気がする。


 悪口じゃないからね。なんと言うか…素直だね、君たち。たぶんみささんの影響だろう。面白がってかは分からないが、たった二つしか違わないであろうに、少年たちを魅了して信者を得ていたに違いない。

 小悪魔的な見た目だし、言動はイタズラ好きなお姉さん。美也子がもし意識的に振る舞ったら…同じことが起きると思う。

 非常に…青少年に良くない。

 そんなことを思っていると千種の腕が首に。


「幸平!また女の人のこと…」

 文字通り締め上げようとするの、反対!


「すげえ…」

「あの早名さんを」

「一言で」

「くん、おまえの姉ちゃんはできそうか?」

「いや、無理」


 変な理解すんなよ!


「そう言えばお名前を聞いても?」

 見ていた橋本が口を挟む。

「早名千種ちゃん。ね?爛れた夫婦でしょ?」

 橋本を睨む俺。薫さんの、ほんと娘だな、あんた。

 嫉妬心がまだおさまらないのか、千種は低い声で

「もし余計なことを周りに言ったら…」


 瞬間、場が凍りついた。あの橋本でさえ唐揚げをくわえたまま冷や汗をかいている。

 ミコさんが出てきてんのか?


 我に帰ったように千種は大人しくなった。

「幸平…唐揚げ食べないの?」

 …温度差な。


 結局場が温まったのはしばらく後のことだ。

 何事もなかったように話が始まった。

 ……後で意を決して千種に聞いてみたところ、やはりミコさんだったらしい。悪戯心だとさ。

 千種もミコさんもほんと止めてくれ。


 後に「早名(千種)さんだけは怒らせてはいけない」と、野球部の後輩全員に意思統一がされたらしい。


 ・・・

「なあ、ほかにも野球したいって高高に来る人いるの?」

「えーと…太郎とブートは推薦で決まったみたいですね」

「あの二人、野球だけでなくていろんな部で助っ人してたよな」

 うんうんと頷く三人。

 いかにも運動神経良さそうだもんな。

「太郎たち、幸平さんのこと兄貴分みたいに思ってるぜ」

 …おい光太郎、また余計なことを。

「早名組ってカッコいい。姐さんも美人だし」

 輩みたいに言うな。なんで横で赤くなる、千種。

 ツッコみが追いつかない。


「あーまた近々学校説明会があるみたいですね」

 また?

「夏休み以降になんでか高高の人気が上がって急に希望者が増えたからとかなんとか」

 アイドルみたいに急上昇するなんてこと…あ、美也子。まさか?


五明(ごみょう)たちもなんか考えてるって言ってたぜ」

「あいつらもか」

「五明って誰?」

「今年の中学の優勝校メンバーっす」

 ほー。

「準決勝で当たって俺らが負けたんですけどね」

 おまえら強かったのか。

「シンプルに向こうのピッチャーが良かったんですよ。ちなみにこっちはこいつ」

 とくんは一条を指さす。

「こいつもそこそこいい投手なんですけど。タフさだけなら五明にも負けないくらい」

 準決勝までいったんだから、確かにすごいんだろう。


「まあ、光太郎がいたら間違いなくうちが勝ってましたよ」

「五明ってそんなすごいのか?」

「分かりやすく言えば…光太郎より球がちょっと遅くて、太郎より少し飛距離がない…選手ですね。他の選手たちも特徴が濃いし」

「そんな選手がなぜうちなんか考えてんの」

「そりゃまあ…一年生だけの連合チームで地区大会の決勝まで行きましたよね。あのインパクトはやっぱすごいですし」

 へえ。

「私立だから併願しやすいってのもありますし。監督は元スカウトの方ですよね?それに一番は部員が5人…6人でしたっけ?いじめはないだろうし、入ってすぐに自分がスタメンになれそうじゃないですか。センバツ出場校の」

 聞いてたら俺もその気になりそうだ。

 よく勝ち抜けたもんだ。改めてそう思う。


「じゃあ五明ってのがエースで四番?」

「エースは他にいましたよ。泉田ってやつ」

 …胸焼けしてきた。唐揚げ食べ過ぎたかな。


「はい」

 千種が胃薬を渡してくれる。

「おーさすが姐さん」

 胃薬渡しただけじゃねーか。


 この感じ…泉田先生の孫とかなんだろうな。なんか読めるようになってきたぞ。


 そういや光太郎…あいつ唐揚げおかずに飯食べてるし。自分の家みたいに自由だな。

 …自分の家か。

 なんでちゃっかり光太郎の横で自分も食べてるかなあ、金髪の人。


「幸平さん」

 こいつら馴れ馴れしくもうそういう呼び方を始めた。まあ千種がいるからその方がいいか。

「早名組結成ですね」

 俺、単なる野球部の助っ人だぞ?

「まず高高の野球部を制圧して、それから県内を制覇しましょう」

 最近なんか映画みたろ。


 勢いついでにいいこと教えてやるか。

「俺でも勝てないやつがいてよ…川上って言うやつだ」

 早名ハーレム願望説をあっちこっち流した犯人だからな。

「まずはそいつから?」

「おまえらがほんとに高高に来たら…」

「了解です」


 千種も橋本も笑っていた。


 光太郎はもちろん、中学の優勝チームのエースと二番手、ベスト4のエースが同時入学するかも知れないと、翌日沢村に話した。

 沢村は半信半疑だったけど。

 くんたちには悪いけど、俺は優秀なリクルーターを目指すことにした。

 ほっとけば勝手に増えるよな?


200話記念。100%増量しました(当社比)。

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