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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第2章:始まりはいつも録画

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今宵の千種は切れ味が違う

 風呂からあがると侵入者の気配。

 非常用の物がないから濡れタオルを武器にする。力強く当てると肌に擦り傷くらい作れるから、何にもないよりましか。

 男性を暗殺するなら小用中が一番、二番目は湯上がりだろうなと現実逃避しながらドアを開ける。


「初夜に物騒ね」

 またおまえか。朝に晩に侵入してくるな、千種。

 鍵の意味ってなんだろう。

「防犯じゃない?」

「分かった。せめて来る前に連絡してくれないかな」

「…」

 聞く耳持たないってか。

「ところで初夜?」

「初めての夜よ」

 かかったな。

「今夜は二日目。初めてじゃない」

「中学生みたいな屁理屈しないの」

 数日前まで本物だったんですけどね、お互いに。

「妊娠とか怖くないの?」

 こっちも応戦。

「したら怖いよ。だから優しくして」

 覚悟の上ね。負けだな。

 潔く観念して両手を上げる。

「オレハラヘッタ」

 ニコッと笑うと千種は支度を始めた。


「いつから俺のこと知ってたの?」

 手を止めず、千種は答える。

「小学校に入る前かな」

「姉ちゃんから?」

「ん。前の家に綺麗なお姉さんいるなあって毎日見てたら、お姉さんが私に話しかけてきて、可愛い子ね、って」

 あの姉なら言いそう。

「年を答えたら、あら幸平と同じなんだって」

 ずいぶん昔のこと鮮明に覚えてるんだな。

「口調は違うかもだけど。内容は覚えてるよ」

 記憶力は確かにすごそうだもんな。二日間だけでも相当に聡明だと俺の目には映った。

「近所に同じくらいの年の子がいなかったからね。お姉さんに言われたんだ。あたしに弟がいるけど友達になりたい?って」

 無理なことを。俺日本にいなかったよ、その時。

 いや姉らしいのか。

「俺日本に帰ったの小2だよ」

「うん、知ってる。高高に通ってたのってあたしが小学校に入った頃だよ。お姉さんがこの家に来るたび、幸平のことを話してくれてさ。すっごい楽しく真似してくれたり、失敗話してくれたり」

「へえ。それ聞いてびっくりしたよ。一切姉ちゃんから千種のことを聞いたことなかったから」

 無駄に(でもないか)演技力あるからな、姉ちゃん。誰かの真似をしたところを見たことあるけど、確かにそこにいるみたいにリアルだった。

「きちんと話したことはないけど、幸平がこっちに来るなら話す気だったみたい」

「どんなつもりでそうなったのかな」

「分からないけど。幸平に会うときにはよっぽどすごい女になってないと紹介しないよって」

「姉ちゃん洗脳師かなんかか」

 千種はクスって笑うと

「そうかも。でも努力するって決めたのはあたし自身。だから」

 千種が初めて刃を見せた。

「幸平はあたしに会えるようなちゃんとすごい男になってここに来たの?」

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