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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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児島くん

 千種は多面体である。

 表層的には静かな湖のように凪いではいるが、一部から見ているだけのことだ。望まないのに他への影響力が大きいことを自覚して以来、沈黙することで余計なトラブルを避けてきたのだろう。

 通常それは「変わり者」とでも処理されるのだろうが、その美貌ゆえに「女神様」と、これまた本人が望まない方向へ作用している。この間の三馬鹿みたいに。

 違う面では、即断即決を是とするこの地独特の女系社会の本流の家を代表する存在だ。母(せい)、華姉妹、俺の姉(よう)が消えて唯一残された希望として。出会って10分で嫁になると決断することは果たして浅薄なのかどうか。

 無論夏休み以降に顕著な特徴として顕れてきたのはリーダー資質である。統率しなくても周りから自然と認められることが証明だろう。ただし、この地においては犠牲と同義に過ぎない。リーダーとしてこの地に還れ…ツガイとして。この地に組み込まれた受益機構の組織の犠牲。

 残された…と言うか本来はまだ15、16才の少女だ。嫉妬深く、際限がないほど思いやりにあふれ、まだ心身ともに成長中の境遇である。


 橋本結菜はどこまで気づいてるのだろう。今の千種との争いは、()()()じゃれ合いである。群れのリーダーと幹部の。端から優劣を認識しており(両者とも自認しているはずだ)、傷つけない程度の遊びだ。


 俺?リーダーの所有物だ。


「唐揚げ食わせろ」

 所有物のささやかな抵抗だ。

「あら、あたしの方がやっぱり…」

「料理だけじゃない。あたしの体がやっぱり…」

 じゃれ合い…だよな?


 ・・・

 児島くんと名乗った。家の中にいたのは、光太郎と愉快な仲間たち3人。

(また児島?)

 そういやショートの児島は…りくと言ったか。ひらがな。みんな平仮名だ。みさ→さゆり→りく。


「なあ、末っ子だったりする?」

 すべてを飛び越えて結論を先に問う。児島()()に。

「よく分かりましたね」

 そりゃあな。りくのあとにくん…だろ?

「たまにふざけてんのって聞かれてムカつく時はありますけど」

 …。あぶねー、言いかけたぞ。


 残りの二人もくん君と同じ中学、光太郎と同じだと言う。

「菅です」

「一条です」

 おまえら、最内に兄貴いるよな?

 はい、と二人は答える。つまり、年子が4名か。


 良かったな、光太郎。仲間か、友達が遊びに来て。

「年上の人に夕飯作ってもらうことが増えたって言ったら、どんな人か見たいって」


 なんとなくだけど、長女のみささんの顔が浮かんだ。千種も微妙な顔をしている。

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