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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第13章:新しき人々

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超鬼、真鬼

『驚くようなお話ね』

『いずれは…と言うことでしょう』

『学校を私物化すると言う批判が付きまとわないかしら』

『校長をオープンで求める限りは起こり得るでしょう』

『校長はとにかく…教育者を必要とするなら私は行動するわ』

『変わらずにいらっしゃることが本当に…』

 私の支えであり誇りです、と玲は断言した。


『まずはこの地の塩に』

『私にはまだ覚悟がありませんが、引退を意識する年齢になりました』

『あなたはここで?』

『夫が…ここの出身なんです』

『そう。それでチームを立ち上げたのね』

『いつまでもチームは仲良くあってほしくて「なかよし水泳会」と名付けました』

『苦しいの?』

『私は未熟です。できましたら、先生にお力添えを』

『あなたは教え子でも特に優秀だった。東洋だと…縁?かしら。ここであなたと共にあることは神の予定にあるのかもしれない』

『日本は八百万ですよ』

『一人くらい混じっても害意がなければ…入れてもらえないかしら』


 難しい話は分からないと玲は首を振る。

『いいわ』

 マリーの一言を持って再び師弟となる。

 玲よりも数段厳しい教育者が誕生する契機となったのは、変哲もない秋深い夕暮れだった。


 ・・・

「みなさんに紹介します。一昨年のオリンピックで優勝したアメリカのメンバーのお一人、マリー・スティーブンスさんです」

 競泳をする以上、必要ないくらいの肩書。

 ほえーと選手全員が虚脱したようにマリーを見る。さくらはある種の予感がするのだろう、結菜の手を握りしめている。


「私は至らないところが多くみなさんにご迷惑をおかけしました。ご縁がありスティーブンス先生に」

「マリーでいいわ」

「…マリー先生に私も含めてご指導いただきたいと考えています」

 やはりかと脱力して結菜にもたれかかるさくら。

 慌てて結菜は手を添える。


「みなさんは私の自慢の生徒、玲の教え子です。幸運なことを喜びましょう。そしてまた私もみなさんに会えて幸運です。私はみなさんと共に進めていけたらと思います」

 流暢な言葉でマリーは自己紹介を終えた。


「優しそうな方だよ」

 意気消沈したさくらを気遣い、結菜はそう言う。

 変わりつつある結菜の姿だった。

「玲先生が鬼なら、マリーは超鬼、真鬼なんだよ」


 年齢順にさくらから…なにかを悟ったのか、さくらはシンプルに名前のみをマリーに告げた。

 マリーの瞳はその姿を映し、次々と自己を述べるメンバーを眺めた。

 最後に千種。

「マネージャーなどの用事をこなしています、早名千種です。よろしくお願いします」

 ふーむ、とマリー。ここで初めて口を開く。

「年齢は?」

「15歳…三月に16になります」

「相応のような…私よりもよっぽど…」

「なにか?」

「あなたに、私よりも年上のようだ…と言ったらこの国では失礼になるのかしら」

「…言われたことがありませんので、あたしからは」

 マリーは笑みを浮かべ

「そうね。選手でない方にそれ以上は不要ね。ごめんなさい」


 マリーは玲に向き直り

「気に入ったわ。個人の目標はみなさんで違うでしょうけど、望む方は一緒に世界一を目指しましょう」


 ええっと結菜。そしてさくらが小声で教える。

「そのためのメニューが組めちゃうの。違う世界に行きたければたぶん適任…でもね」


「絶対苦しいわよ、それ」


あくまで母のため帰国したさくらさん。

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